Yo "タラマイカ偽書残闕" 2026年8月6日

Yo
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@otsuki
2026年8月6日
タラマイカ偽書残闕
北部ギジンという地名も、タラマイカ族という民族も、私の調べた限りでは存在の痕跡がない。彼の言うところをずれば、タラマイカ語による原テキスト(但、日承による)から、スウェーデン語の第二のテキストがつくられ、さらにウルドゥ語の第三テキスト、英語の第四テキスト、そしてこの日本語による第五テキストにつづくのであるが、筆記や口承による伝達の間に、さらに他の言語が介在していないという保証はないばかりか、これがスウェーデン語、もしくはウルドゥ語、ないしは英語による完全な創作である可能性も等しく存在している。私が彼と呼ぶその男は、ふとしたきっかけで知りあった米国籍の男で、何をしている人間なのか全く見当がつかない。彼の言によれば、ウルドゥ語で記されたその巻紙状の断片を、米国西海岸の或る中都市の工事現場で拾ったということだ。新しい都市計画に従って取り壊し中の図書館の現場のブルドーザーのキャタビラの下にあったと彼は称しているが、その現物はと問うと、ヒッチハイク中に他の荷物と共に盗まれたと言うばかりで要領を得ない。だがいずれにせよ、これらの言葉は、その発生の時も所も人もつまびらかにせぬまま、とにかく人間の魂から発したものであることに違いはない。学界からの万一の誤解を未然に避けるべく、ひとまず係書としたが、それがこれらの言葉を否定するものではないのは、言うまでもなかろう。
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