ねこすき "楽園" 2026年8月8日

楽園
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夕木春央
以下ネタバレ感想(長い) よくもこんな地獄シチュエーションを考えるものだ… とまずは作者に対して思ったが、その地獄シチュエーションに陥ること自体も計画のうちであったということが更にすごかった。 全て、一手先を行かれている。 計画のうちと言ったけれど、方舟からそうだが、しっかり緻密に練った計画というわけではなく、そうなるかもな、ならなかったらこうやって逃げるか、みたいなある種柔軟で行き当たりばったりな部分があって、本人なりに焦りも感じながら、「やるべき」と思ったことを「今がチャンス」と思ったらサックリやってしまうその感覚がなんかすごく怖い。 主人公・康之への共感、移入度が高くてハラハラがすごかった。 方舟、十戒を読んできた読者は、当然彼女の怪しさはかなり序盤から感じると思うが、康之も同じように疑いを濃くしていくのが、読者目線でも感覚がリンクしているようで良かった。 だからこそ、康之が考えた=読者(私)も薄々感づいていた「全員やればOK」とか考えてる?っていう説が肯定されて、やっぱりそうか~と思わされたし、そこからの梯子はずされた感、足元が崩れていく感覚が凄まじかった。 さらにダメ押しの「もう少しで助かったかもね」「お前が選択したんだぞ」という要素にも、さすが……と唸った。 僕と恋人が殺人をしなければならない状況づくり/意図のわからない事件/謎を解こうとする理由付け(解いたら助かるとかでなく、対等でいたい、愛されていたいから)/謎を解くことで追い詰められるのは犯人ではなく探偵という構造/事件の意図の誤認/僕と恋人が、ではなく僕こそに殺人をさせるための筋書きだった/犯人の殺人の理由がすごくシンプル こういう要素が、普通のミステリとは違う感覚にさせてくるなと思った。 犯人は人の気持ちが想像できないわけじゃないんだよね。想像はできるから、こういう筋書きにしたらこう動いてくれるかなって想定できるわけだから。 でも想像できたところで、「私はそうは思わないな」って言って、あくまで「自分の」目的、「自分の」気持ち第一優先で動いてるんだろう。
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