
イシイルカ
@ishiiruka0421
1900年1月1日
イモータル
萩耿介
読み終わった
インドで消息を絶った兄の声に導かれるように『智慧の書』と共にインドへ。
精神的に追い詰められつつある主人公と共に、読者は時空を超えて同時に『智慧の書』を巡る歴史を追体験するような不思議な小説。
舞台はフランス革命時代のパリ。王立図書館の研究員が主人公となる。彼がインドで入手した「ウパニシャッド」をその生涯をかけてペルシャ語からラテン語へと翻訳する男。
日々の生活にも困窮し、弟に無心するような彼が命がけで翻訳した『ウパニシャッド』は、最後に偶然なのか運命なのか自らの手で少年ショーペンハウアーへ。
『意志と表象としての世界』へと続く系譜。
舞台は変わり、時代はさかのぼって16世紀から19世紀までインドの殆どを支配したトルコ系イスラム王朝のムガル帝国。
そこでまたしても命がけで古代インドの経典「ウパニシャッド」を、サンスクリット語からペルシャ語へと翻訳する皇帝の第一皇子の生涯が描かれる。
政治などの現実的な事柄から逃避して星を愛で、自然を愛し、ヒンズー教を始めとするイスラムからすれば異教を研究する事に執着するシコー。
皇帝である父が衰え、皇位を狙う兄弟にとうとう追い詰められて処刑される。
彼の生涯をかけた書物はやがて・・・。
終章にて舞台は三度現代へ戻る。タージ・マハルから日本へと帰る空港。日本からの電話で現実に引き戻される主人公。
佐藤優氏の帯の煽りは「哲学」に力点をおいていた気がするが、たしかに哲学と宗教がテーマであることは間違いないのだろうけれど、どちらかというとファンタジーのような、歴史のロマンというか、一冊の宗教書に文字通り取り憑かれた男たちの壮大なロマンのような印象を受けた。
ところで書影の象、あれアフリカゾウじゃないですかね?
物語上、インドゾウじゃなきゃおかしい気がするけれど。
2026/02/03