
RIYO BOOKS
@riyo_books
2023年6月10日

オリエンタリズム(下)
Edward W.Said,
エドワード・W.サイード,
エドワード・W.サイード,
今沢紀子
読み終わった
父は自分の書くものに、生涯にわたって培った博識を注ぎ込みました。そのトピックは多岐にわたり、文芸批評から、オペラ、歴史、そしてもちろん政治にもまたがっています。父の政治評論の説得力と力強さに萎縮させられてしまって、わたしはパレスチナ人の置かれたありさまを記録することに、自分も貢献しようという気にはなれませんでした。少なくとも父のような厳格さと一貫性をもってそうすることは、はなからあきらめていました。そんなわたしのためらいを聞かされたなら、父はきっと不満に思ったことでしょう。本書のいたるところで父が熱心に勧めているのは、パレスチナや他のアラブ世界の生活の真の姿を歪めている巨大なプロパガンダ機構から道徳的な優位性を取り戻すために、思い切って発言することなのですから。
──ワディ・E・サイード『オスロからイラクへ』あとがき