サブレとポッポの往復書簡 "蹴りたい背中" 2026年8月11日

蹴りたい背中
蹴りたい背中
綿矢りさ
クラスや部活動の中で浮いてしまうことって、少なくとも中高までの世界では当事者にとって死活問題になりかねないから、私自身を含めて多くの人は絹代のように上手に立ち回って、自己主張よりも周囲との協調を採って、そのフェーズを生き抜こうとする。 ハツ自身も、自分もそうすることが一番楽だってことを頭の中では解ってる。けど、それって何だか違うって感じている。かといって、妥協して回りに迎合すること出来ずに、貫きたい自分自身との間で揺れる毎日を過ごしている。そんな中で、どんなに周囲から浮いていても、まるで意に介さずに我が道を往く『にな川』と接点を持つようになり、立ち位置としては彼に自分と同じ部分を見いだしつつも、同時に、自分にはない何かを持っていることを見いだして、ハツ自身も気付かないうちにそこに嫉妬する。それが、純粋なファンとして、にな川がオリチャンに対して抱く感情。 余計な打算も何も含まず、ただ真っ直ぐに自分の『ファン』としての感情を表出できるということが、実はハツにとっては本当に羨ましくて、同時にあまりにも真っ直ぐすぎたからこそ、そんなの人間関係の中で生きていかなきゃいけないのに、それがまかり通るだなんて、そんなの認めたくないものだって思ったから、だから、にな川に対して、あんな風に接してしまったんじゃないかなぁ。二回目は手加減していたけど。 あの頃の自分って、今振り返ってみても、自分でもよく解らないってところがたくさんあったから、何だかハツに昔の自分を見ているような気持ちで読みました。 あと、何気に作中で絹代ちゃんが、とても大切なことをハツに忠告していたので、そこは自戒としてもきちんと覚えておこうと思います。 『ハツはいつも一気に喋るでしょ、それも聞いてる人間が聞き役に回ることしか出来ないような、自分の話ばかりを。そしたら、聞いてる方は相槌しか打てないでしょ。一方的に喋るのをやめて、会話をしたら、沈黙なんて来ないよ。もしきてもそれは自然な沈黙だから、全然焦らないし』
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