chika "みちのく民話まんだらーー民話..." 2026年8月13日

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@koitoya
2026年8月13日
みちのく民話まんだらーー民話のなかの女たち(増補新装版)
筆者が歩いて集めた19の民話と随筆が収められている。 民話にはそれぞれ「あと語り」がつけられていて、いつ、どこで聞いた話なのか、どのように受け継がれてきたのか、語り手の思い、そして筆者がどう考えたのかまで書かれている。それがとてもいい。 とくに第十二話「鯉嫁さん」とそのあと語りが気に入っている。小野は異類婚姻譚について、「民話の世界では、たくさんの生き物たちが、人間の男のところへ嫁にきます。(中略)ただ、婿になる生き物たちは、自分本来の姿、猿なら猿の姿のまま婚姻する場合も多いのですが、嫁にくるほうは、必ず変身して美しい人間の女になってあらわれます。」(p.180)と書く。 さらに、「どんなに変身しても、侵してほしくない一線はあり、それは、生き物が個別に持っている命そのもの」だとし、「相手を侵さない、相手との一線を守ることこそが、幸せの根源であった」(p.181)と語る。 「かつて、鯉の哀しさを味わわなければならなかった女は少なくなかったでしょう。(中略)みすみす侵されていくわが命をまじまじと見つめているしかなかったのでしょう」(p.182)。 ここでは異類婚姻譚が、女性が自分自身であることを許されなかった時代の苦しみを、動物の姿を借りて語ったものとして立ち上がってくる。どの話も、動物に置き換えたり、笑い話にしたりすることで、物語の裏に当時の女性の苦しみが隠されている。それを理解している語り手から聞く言葉は、物語以上の深みを持っている。 小野が集めていたのは、単なる民話ではなく、民話という形に姿を変えた生活者の記憶だったのだと思う。この本の対になる『民話のなかの男たち』も読みたい。
みちのく民話まんだらーー民話のなかの女たち(増補新装版)
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