ワタナベサトシ "侍女の物語" 2025年4月1日

侍女の物語
侍女の物語
マーガレット・アトウッド
2025/4 再読。 架空の近未来を設定してひたすら状況(situation)を描写している。全体を通して何かが起こるといった“物語”が進行するわけではないが、背後に控えているモノ・前段にあった語り得ない過去・世界全体の流れや隠されている存在を想起せざるを得ない構造が、読者自身の内側に物語を再構築させるよう強いてくる。 ディストピアものだが、エンタメやSF活劇を期待して読むとちょっと肩透かしをくらうかも。 30年も前に書かれた思考実験のような小説だが、2025年に読んでもけっして古びていないどころか、現在に通じるけっして良くない未来を正確に予言しているようにもとれて、読み手の感性が試されているような気配も感じる。また30年後に読み返すことができればいいと思う。 このあと『誓願』を読むつもり。
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