
izy
@izy
2025年4月1日

ここにいないあなたへ
辻仁成
かつて読んだ
「ない」という言葉は不思議で、「ない」と言われると、かえってその存在が際立つことがある。この詩集でも、「あなたがいない」という否定表現が、あなたの存在を消し去るのではなく、いないあなたの姿をありありと描き出す。
いなくなっても、消え去るものではないのかもしれない。人の頭や心は、ハードディスクのように初期化で真っ白なんてことはそうそうできず、それは薄れていくだけの話。時が経って記憶が曖昧になっても、幸か不幸か、いろんなことをなんとなく思い出すことはできて、いないあなたのことを思い出す限り、あなたの不在がどうしようもなく存在する。

