
高卒派遣社員
@hidari_s
2025年4月1日

昭和トワイライト百景
フリート横田
読み終わった
平成29年から30年にかけてcakesにて連載されたものに加筆・書き下ろしを加えた一冊。
出版とともに平成最後の年を迎える中、戦後間もない街の雰囲気を残している街並みが紹介されている。フリート横田の真骨頂である飲み屋だけではなく、高度経済成長の勢いで建設されたモダンなビルなども含まれており、わずか125ページの軽めの読み物とはいえ、ガイドブックとしてとても楽しめた。
特に心惹かれるのは第三章の路地・街角編。すしや横丁、雑二ストアー、亀甲マーケット、塙山キャバレーなど、すでに姿を消しているものもあるが、ヤミ市の空気を今に伝える(伝えていた)場所のヒストリーは読み応えがある。
都築響一、渡辺豪、フリート横田のお三方による鼎談では「なぜ人は"昭和"の風景に惹かれるのか?」という問いのもとに濃密なディスカッションが繰り広げられていた。
決して昭和に戻りたいわけではないし、昔は良かったなどと言うつもりはない。しかし本書で紹介されている風景に想いを馳せるのは、黄昏の空が夜の闇に滲んでいく景色を眺めているようなものだと思った。

