
路傍のクロワッサン
@bear-jew
2026年8月15日

悪と嘘を描く
武論尊
読み終わった
『北斗の拳』の原作担当で広く知られる武論尊(別ペンネームには史村翔)が、半生を振り返りながら私論を展開していく一冊。
帯には「初めて明かされる原作術」などと書かれていますが、実際の中身はちょっと違います。
本書は"こうすれば上手く物語を組み立てられる"といった指南書ではなく、あくまで武論尊氏が自身の経験から得た私論を明かすもの。
なので、答えを探して本書を開くのではなく、何かしらのヒントを発見できれば儲けもんくらいの気持ちで読むのが良いかと思われます(著者自身、冒頭にてその旨を表明しています)。
ただ、売り文句と中身にギャップはあっても、本書は純粋に読み物として面白いです。
本宮ひろ志との出会い、編集者との試行錯誤、作画担当との関わり方‥。
武論尊氏だからこそ書ける文章がてんこ盛りで、読む手が止まりません。
自分のことを歯車でしかないと割り切ってしまう姿勢もクリエイター関連の書籍にしては珍しく、そこもまた新鮮な気持ちで楽しむことができました。
AIなどを利用し効率的に成果を上げることが要求される現代。
武論尊氏の『優れた作品を生み出すためには、そこに効率化を求めてはならない。(本文より引用)』という考えは意識していきたいと思います。