

路傍のクロワッサン
@bear-jew
今年(2026年)に入って本をよく読む様になりました。
読書家と名乗るにはまだまだですが、いろいろ読んでいきたいなと思ってます。
遅読なのは悪しからず。
- 2026年7月5日
世界がわかる宗教社会学入門橋爪大三郎読み終わった宗教というものに忌避感を抱いている日本人はきっと多いはず。 しかし宗教というものは結構面白いものですよ。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教などなど種々雑多な宗教たち。 これらがどのように成立し推移していったのか、それを簡潔かつ大系的に纏めてくれたのが本書です。 本書だけで全てを知ることはできませんが、理解の足がかりとしての機能は十二分に果たしています。 情報を知りたい宗教の章だけを読むのも全然ありですし、なんなら巻末にある宗教社会学関連年表に目を通すだけでも必要な知識を得られるかもしれません。 特定の信仰を持っていなくても、宗教のことを知るのは大切。 人間という生物を語る上で宗教は外せませんからね。 - 2026年6月29日
チャーリーとの旅ジョン・スタインベック,青山南読み終わったアメリカのことを何も知らないと悟ったスタインベックは、愛犬の老プードル〈チャーリー〉を連れて旅に出発。 改造トラック"ロシナンテ"で1960年のアメリカを闊歩し、訪れる場所場所で出逢うアメリカ人との交流を文字によって活写していく一冊となっています。 岩波ブックカバーフェアの対象本でしたので、なんとなく本書を手に取ったわけですが、これがなかなか面白い! 1960年代のアメリカ、という私に取って何のゆかりもない時代・場所が舞台なのに、意外にもスルスルと読めてしまえました。 これはやはりスタインベックのユーモア、そして描写力のお陰なのでしょう。 本書を読んで彼の他作品への興味も出てきました。 『怒りの葡萄』も手に取ってみようかしら。 - 2026年6月26日
ホルモー燦燦万城目学読み終わった『鴨川ホルモー』刊行から20年の歳月を経て、ホルモー奇譚ついに完結。 一見関連性のないように思える個々の物語が、実は"ホルモー"によって繋がっているという見せ方が上手いのでスラスラと読めてしまえます。 やっぱり一冊の中に一本軸があると読みやすいですね。 そして相変わらずホルモーの深淵は底知れず。 わからないから面白いを徹底してくれているのは本シリーズの魅力です。 『ホルモー六景』で存在が示された東京ホルモーのベールが明かされる"社会人ホルモー"が、とりわけ映画的で読み応えありました。 懐かしいキャラクター達にも再開でき、個人的には満足です。 では、最後には例の雄叫びをあげて感想を締めたいと思います。 「「ホルモォォォォォォオオオ!」」 - 2026年6月21日
資本主義が嫌いな人のための経済学〔新版〕ジョセフ・ヒース,栗原百代読み終わった経済学に関して全くの無知ですが、資本主義のなかで生きているのだから教養のためにいっちょ読んでみようかと購入。 基礎知識の不足ゆえに手間取り、時間がかかってしまいましたが何とか読了しました。 右派と左派がそれぞれ抱えている謬見、誤信を批判的に論じていく本書。 過去事例を取り上げながら説明してくれるので分かりやすいところもありましたが、どうやら私には難しかったようです。 ただ全てを理解できなくても、資本主義システムの複雑さを多少なりとも理解できただけで儲けもの。 「需要と供給のバランス」、「モラルハザード」などなど実は身近なのに実生活で意識しにくい問題を提示してくれる本書は、一読の価値ありかと思います。 - 2026年6月11日
すみせごの贄澤村伊智読み終わった澤村伊智氏が手掛ける比嘉姉妹シリーズの短編集第3弾です。 全6編が収録されており、各話50ページほどなのでお手軽に読むことができます。 相変わらず人間の醜悪な面と怪談を結びつけるのが上手く、いい意味で嫌な気持ちにさせられました。 「そんな無理に嫌な着地にさせなくても‥」という展開もありましたが、まぁそこは澤村氏の"味"ということで納得しましょう。 ちなみに、個人的なお気に入りは「火曜夕方の客」と「とこよだけ」。 「火曜夕方の客」はホラー色が強いのに最後にはうるっとくる感動が、「とこよだけ」はちゃんと読めば分かるトリックが仕込まれており読後の満足感がありました。 - 2026年6月6日
オリエント急行の殺人アガサ・クリスティー,山本やよい読み終わった今年の3月頃に初めてのクリスティー体験となった『そして誰もいなくなった(新訳)』を読了し、彼女のストーリーテラーとしての才能を今更ながら実感。 その流れで、不朽の名作と名高いこちらにも手を伸ばしてみました。 残念ながら生きているうちにネタバレを避けることはできず、真相を知ってしまっている状態で読んだわけですが、それでも十分楽しく読みことができました。 国籍問わず種々雑多な人々が集まる国際列車、不運にも雪の影響でクローズドな空間へと変貌。 この状況づくりの段階からすでに面白い! 基本的に視点は名探偵〈ポワロ〉に定着していますが、〈ブーク〉と〈コンスタンティン〉という読者の代わりとなって疑問を呈示する存在がいてくれるお陰で、物語に没入しやすくなっているところも上手いです(一緒に謎に挑んでいる気分になります)。 不可思議な殺人事件はやがて、「法の脆弱性」、「正義の所在」というテーマへと収斂し、見事なラストへ着地。 確かな読後感に浸れる傑作でした。 《個人的メモ》 最も感嘆した箇所は、p19のポワロを見送るフランス軍中尉〈デュボスク〉の視点から、流れるように〈メアリ・デブナム〉の視点へと移行するトランジション! この映像的な描写力、さすがクリスティー先生です。 - 2026年6月4日
ネット怪談の民俗学廣田龍平読み終わった1990年代から2020年代の間にネット上で生み出され、人々を魅了してきたネット怪談/ネットホラー(『ひとりかくれんぼ』『くねくね』etc)をできるだけ拾い上げ、分析/考察を展開していくネット怪談入門書です。 基本的に日本のものを中心に取り扱っていますが、海外のものでも『スレンダーマン』や『バックルーム』などの有名どころはしっかり取り上げてくれていますので、そちら方面に興味がある方にも有意義な読書になるかと思います。 怪談がどのように始まり、共同構築されていったのかを、できるだけ明確な情報をもとにして分析していく筆者の熱(というか偏愛)が肌に伝わってきました。 巻末には出典・索引まであり、資料としての価値も十分高い本です。 《本書内用語記録》 ネット怪談‥特定の作者への帰属が意識されず、事実かもしれないとみなされるもの(投稿者=報告者)。 ネットホラー‥作者の存在が意識され、フィクションとして楽しまれるもの。(投稿者=作者) 「オステンション」‥すでにあるテキストで言われていることを試してみたり、再現してみたり、とにかく身をもって示してみる行為のこと 「逆行的オステンション」‥もととなる伝説がないのに実体験や噂などで「根拠」をつくりだし、あたかも昔から伝説があったかのようにしていく一連の行為 - 2026年5月29日
推し、燃ゆ宇佐見りん読み終わった正直言ってしまうと私好みの作品ではありませんでした(恐らく現代純文学が性に合わないのでしょう)が、最後まで読み通すことができたのは、ひとえに著者 宇佐見りん氏の描写力のお陰だと思います。 とくに、主人公の見る世界を的確かつ秀逸な表現で言語化能力には目を見張るものがありました。 推し文化に興味を持てない私からすると、心の空白を他者で埋めることの良さが分からないですね。 - 2026年5月28日
読書についてアルトゥル・ショーペンハウアー,鈴木芳子読み終わった読書について知ろうと意気込んで本書を開くと、早々に「他人の知識(=本)に頼るな!自分の頭で考えろ!」と鼻面をぶん殴ってくるショーペンハウアー先生。 私は本書以外では『幸福について』しか読んでいませんが、この痛快な傍若無人っぷり(言い方悪いですが老害な感じ)こそがショーペンハウアー先生の妙味だと感じています。 正しいかは別として、力強い語り口から放たれるユニークな罵詈雑言の数々は純粋に読んでいて楽しいです。 とくに日銭を稼ぐために粉飾を施した悪文を書く文筆家を「三文文士」と呼称し、痛烈に批判していくところは笑いっぱなしでした。 - 2026年5月25日
男と女とチェーンソーキャロル・J・クローヴァー,小島朋美読み終わった一般的に俗物的、露悪的と見做されがちなホラー映画ですが、著者のキャロル氏はそこからジェンダー論を展開。 ホラー映画の見方をグッと広げ、新たな楽しみ方を提示してくれる名著です。 ホラー映画内における「男性性」と「女性性」、「ブラック・マジック」と「ホワイト・マジック」、「都会」と「田舎」、「サディズム」と「マゾヒズム」等に関するさまざまな知見が得られました。 スラッシャー映画好きはもちろんですが、「スラッシャー映画は低俗だから嫌いなんだよな」なんて考えている人にもぜひ読んでもらいたいですね。 巻末には(本書の内容に合わせた)ホラー映画の年輪型図解も収録されているので、ロードマップとしても活用できるオススメの一冊です。 - 2026年5月24日
ホルモー六景万城目学読み終わった本書は『鴨川ホルモー』の続編、ではなく閑話をまとめた短編集。 なので、『鴨川ホルモー』の記憶が新鮮なうちに読むことができたのは幸いでした。 『鴨川ホルモー』内でちょろっと触れられていた話題や登場人物に肉付けを施した物語が六編収録されており、「あの時の裏ではこんなことが!」と答え合わせを楽しむように読めるのは本書の面白いポイント。 基本はロマンス中心ですが、"ホルモー"の深淵に触れる部分もあったりと中々興味深い内容でした。 完結作『ホルモー燦燦』への期待も高まります。 - 2026年5月21日
鴨川ホルモー万城目学読み終わった今日も今日とて京都で繰り広げられる怪奇、珍妙、荒唐無稽な青春譚。 「友情」、「恋愛」、「バトル」あり、いちど入れば抜けられない、変テコ万城目ワールドここにありな一冊です。 バカバカしい設定とは裏腹にストーリー自体は意外にも王道。 世界観の広がりを感じさせる余白を残しつつ、必要なディテールはしっかりと描写してくれているため非常に読みやすい。 読書に慣れていない人でも、すらすら読めるのではないでしょうか。 2作目『ホルモー六景』を読み、来月6/24発売予定の完結作『ホルモー燦燦』に備えようと思います。 - 2026年5月16日
オデュッセイア 上(ホメロス)ホメロス,松平千秋読み終わった2016/9/11公開予定のクリストファー・ノーラン監督作『オデュッセイア』予習のために上下巻合わせて読了。 紀元前にまでさかのぼる"超"がつく古典なので、果たして楽しめるかしらと不安を抱きながら読み始めたわけですが、松平千秋氏の翻訳のお陰も相まってか読みやすく、意外にもスラスラと最後まで完走できました。 本当は(前日譚にあたる)『イリアス』を先に読んでおいた方が良かったっぽいですが、本書から入っても問題なく楽しめました。 いわゆる英雄譚(=ヒーローズ・ジャーニー)で、主人公が"行って、(何かを持ち)帰ってくる"物語な訳ですが、この物語形式の不変的な娯楽性の高さを確認できたのは読んで良かったところ。 昨今流行りの"舐めてた奴が実力者だった"的な要素もあったりとエンタメとして十分な読み応えがありますので、気になっているようでしたら読んでみるといいと思います(最後にはまさかの大殺戮パーティ!)。 堅忍不抜で智謀に富むと描写されるわりに、結構抜けてるところがあるオデュッセウス。 ひとつ目の巨人キュクロプスとの悶着は、ちょっと阿呆で笑えます。 - 2026年5月4日
成瀬は天下を取りにいく宮島未奈読み終わった巷で人気を博していたのは知っていましたが、今更ながら一読。 成瀬のキャラクターには愛嬌があり、最後まで楽しく読むことができました。 続編の文庫版が6月に出るとのことなので、発売日を楽しみに待ちたいと思います。 - 2026年4月19日
日の名残りカズオ・イシグロ,土屋政雄かつて読んだ初めてカズオ・イシグロ氏の著作を読んだところ、これがなかなか面白い。 英国の大屋敷で働く執事が休みをもらったことから始まる物語を、ここまで奥深く描けてしまうとは…。 ブッカー賞、ノーベル文学賞を受賞したのも頷けます。 素晴らしい小説を読んだときに心を満たす、「確かな満足感」と「視点の広がり」を得られる傑作でした。 - 2026年1月31日
無意味なものと不気味なもの春日武彦かつて読んだ精神科医でもある著者、春日武彦氏が「無意味なものと不気味なもの」として想起する作品について綴った書評かつ随筆集。 恐怖の一歩手前、だからこそ心にシミのようにこびりつき洗い落とすことができない綺譚たちを、著者独自の視点から分析・解釈していく本書。 やや無理矢理な解釈をしている面はあるが、著者の言説には妙な説得力があり、思わず唸ってしまいます。 本書をロードマップにして、気になった作品を手に取って読んでみるのもいいかもしれません。 - 2025年11月19日
超芸術トマソン赤瀬川原平かつて読んだ生産性を欠いた、一般的には不要なものと見做されてしまう物件を「トマソン」と名づけ、無価値にこそ価値があるとした妙味あふれる一冊。 読者から寄せられたユニークな投稿に対し、ユニークな返事をする赤瀬川氏の素っ頓狂なユーモアに引き込まれ、めくる手が止まりませんでした。 今後街を歩く時、トマソンを自然と探してしまうことでしょう。 しかし不要なものは社会から排除されていってしまうもの。 トマソンが静かに、そして逞しく存続していることを切に願います。 - 2025年10月30日
時をかけるゆとり朝井リョウかつて読んだ小説家、朝井リョウ氏の馬鹿馬鹿しくも愛おしい愚行の数々をユニークに描いたエッセイ集の第一弾です。 大学生時代の出来事を中心に、さまざな経験を面白おかしく描写。 さくらももこ氏のエッセイが好きというのも、端々から伝わってきます。 最後は直木賞を最年少で受賞した際の述懐で締めくくられており、きれいに着地しているのも良いです。 眼科医との戦いから、大学時代に行った無計画な旅の珍道中など種々雑多な出来事が満載。 隙間時間に読めるライトな一冊です。
読み込み中...