
kohhee
@kohhee
2026年8月16日
チャーハンという迷宮
石田かおる
読み終わった
表紙概略曰く『膨大な調査で、「米と油と日本人の150年史」を描く』。
著者略歴曰く『本書は、チャーハン沼にはまり生還した、4年間の探訪と探求の集大成である』。
この齟齬が如実に表れていた。
こちらとしてはNHK出版新書ということで、「ためしてガッテン」的な、まあ色々細かいこと言うと難しくなるんですけど一般向けに言うならとりあえずこう、天下のNHKが保証します、というような読み物を期待して読み始めた。
実際、明治時代から始まって現代にたどり着いて終わるという構成になっていて、文明開化・戦争・バブル・IT革命など、時代と共振するチャーハンひいては日本の食卓、日本人の「食」観の変化が、経時的に描かれていて、それなりにおもしろく読んだ。
一方で問題は、「著者の4年間」の部分。これがNHK的文化史読み物に、時系列が前後しながら出たり入ったりしてきてやかましい。
「チャーハンの謎にせまれ」と壮大な指令を思いつきのようにする上司へのグチ、「チャーハン」の定義設定に悪戦苦闘する話、国会図書館で過去のレシピを採集した苦労など。
これらはこれらで「チャーハンの迷宮をめぐる冒険譚」として4年間を時系列でまとめてくれればもう少し読めただろうが、こういう読み物のなかにカットアップしてサンプリングされるとノイズでしかない。
著者はフリーに転じたようで、これからは「チャーハン・ヒストリアン」を名乗って生きていくつもりのようだから、これを名刺代わりの1冊にしたかったのだろう。
それこそ「マツコの知らない世界」とか「オードリーの激レアさん」のノリで「私」を押し出してくる文体が、「ためしてガッテン」のなかで邪魔だったという印象。
