
夜鹿
@YOSHIKA
2026年5月22日
嘘つきジェンガ
辻村深月
読み終わった
悪人としてではなく、弱さゆえの成り行きで嘘という「ジェンガ」を積み上げてしまった普通の人々を描く物語
私たちは、見栄や孤独、承認欲求、自分や誰かを守るために小さな嘘をつき、それを隠すためにさらに嘘を重ねていきます。抜き取ったピースを上に乗せるたびに、グラグラと揺れる「虚構の塔」は、わずかなきっかけでガラガラと音を立てて崩れてしまいそうな、ギリギリの危うさと罪悪感を孕んでいます。
嘘が暴かれ、築き上げてきたものがすべて崩れ去る瞬間は絶望的です。しかし、それは同時に「もう嘘をつかなくてもいい」という解放でもあります。その時、あなたのそばにいる人は誰でしょうか。崩れた木片を前に立ち尽くすのではなく、嘘の剥がれた自分と向き合うことで、もう一度、土台から人生を積み直していくことができるかもしれない。そんな微かな救いと再生の暗示も込められているようにも感じました。