
CandidE
@araxia
2025年4月2日

ペーター・カーメンツィント
ヘッセ,
猪股和夫
読み終わった
ヘルマン・ヘッセの作品群を『ガラス玉演戯』という仰ぎ見る山への登頂に見立て、その下山の過程として本書を読んだ(その3)
アルプスの自然描写が瑞々しく清々しい。20代前半にして50歳の初老の人間の人生を描ききったヘッセの才能と、それを育んだ時代と地域の飽和した文化の土壌に、私は歴史の郷愁を感ず。
初期作品である本書における若き日のペーターの激しい懊悩に始まり、晩年作『ガラス玉演戯』のクネヒトの透徹で静かな悟りに至るまで、ヘッセは常に人間の魂の旅を描き続けた。それらを繋ぐ永遠の風景の中に、ヘッセ文学の変わらない本質を観る。
アルプスの峰々に、ガラス玉演戯を映して。