
あかねいろ
@aKn327bqPd
2026年8月16日
翳りゆく午後
伊岡瞬
読み終わった
読了~~~!
読む前のワクワク感を上回る面白さで大満足……。と同時に、やはりこういった湿っぽいリアリティーのある作品が自分の好みなんだなぁと改めて自覚。
※以下ネタバレ含む感想※
本作品は『高齢者が起こす運転事故、また免許返納問題』が主柱に構成されているだけあって、やはり自身の家族のことも考えさせられた。高齢者が事故を起こした直後の世間の反応などが細か~く、それはもう想像するのも嫌になるほど細か~く描写されており、読んでいるだけで気が滅入りそうになった。
作中の雰囲気を振り返ると、とにかく不穏、不穏、不穏の連続だったように思う。(しかしこれがめちゃくちゃ良い)
事故が起きる前の予感的な不穏、事故が起きた後の"事件性"を巡る不穏など、とにかくサスペンスミステリーの好きなところが凝縮されているような作品だった。
更に物語後半では主人公家族の不和が生み出した、いわば"翳り"のような事件の遠因が明確に描写されており、これがなければもう少し事態は好転していたんじゃないだろうかと思えてしまうほどに納得感のある内容だった。(この家庭内不和の描写は、なんとなく『殺戮にいたる病』を思い出した)
終章とその手前には『もしもの可能性』を示唆する内容が武の手記を交えて書かれていたが、これがまた敏明(主人公)、武(事故を起こした敏明の父(80))、幹人(敏明の息子)の三視点の思惑や願いが複雑に絡まっていて切ない。
ネタバレを気にせず言ってしまうと、中盤から敏明は自己保身のためにシラを切り始めるのだが(死体のようなものを見つけたが、結局見なかったことにした)、その判断を察した息子と父の反応が特に切なかった。
サスペンスミステリーを余すことなく堪能したのはもちろん、終章に描かれていた武の手記では人情味も味わうことが出来て、本当に大満足の一冊だった。どうか彼らの今後が、翳りに負けないぐらいに輝いてくれることを祈る。
(メモ:p241.武が夜間ドライブに依存するようになった理由が心に沁みた)
