ユメ "ハケンアニメ!(上)" 2026年7月25日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月25日
ハケンアニメ!(上)
心から大好きな物語。マガジンハウスから刊行されている単行本も文庫本もすでに持っているのだが、新たに刊行される講談社文庫版には、辻村さんが書き下ろした作中アニメ『運命戦線リデルライト』『サウンドバック 奏の石』のプロットが収録されるとのことで、やはり買わずにはいられなかった。 数年ぶりに再読した『ハケンアニメ!』は、何度読み返しても私の心を熱く揺さぶってくれる。エンターテインメントに支えられて育ってきた自覚がある人間として、制作発表記者会見での王子のひと言ひと言が深く心に刺さり、そのたびに改めて救われる思いがした。 王子が言うように、分かりやすく不幸な状況ではなかったとしても、思春期の繊細な心が傷ついたり疎外感を覚えたりすることはままある。そもそも、純度100%の幸福だけに浸りながら現実世界を生きてゆくことなんて、不可能だろう。私自身の思春期も(大人になった今でもそうだ)、楽しいことがたくさんあった一方、辛いことももちろんあった。 そんなとき、本を開いて物語の世界へ飛び立つことで、どれほど救われてきただろう。王子はその行為を、現実逃避ではなく、現実を生き抜く力だと肯定してくれる。そのことが、エンタメに支えられてきた人間として本当に嬉しく、心が震える。 『ハケンアニメ!』という物語は、エンターテインメントの力を信じている作家による、最高のエンタメ讃歌だ。この物語に出会えたことを幸せに思う。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved