
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月26日
ハケンアニメ!(下)
辻村深月
読み終わった
感想
再読
本を読むとか、アニメを観るとか——上巻での王子の言葉を借りるなら「一人できる楽しみ」に、冷ややかな視線を送ってくるひとは、きっといつの時代にもいる。だから、和奈が初めオタクとはほど遠い宗森と心の距離を置いていたのも、分からなくはないのだ。愛するコンテンツを馬鹿にされたり、否定されたりでもしたら、自分のことのように傷つくから。
だが、宗森を見ていると、対象に詳しくなくともそのコンテンツにきちんと敬意を払うことはできるのだ、と気付かされるし、私もそうありたいと思わされる(何しろこの世には莫大なコンテンツがあって、自分が知らないことの方がよほど多いのだから)。
宗森の誠実さが頑なだった和奈の心を溶かしてゆくのに胸が温まったし、宗森が『サバク』を大切に扱ってくれることに嬉しくなった。
『サバク』というアニメに関わったひとたちの力が結集して実現した河永祭りでの川下りは、とても美しいシーンだ。主題歌の「この日々を後悔しない」という歌詞が胸に響き、思わず目頭が熱くなる。
綺麗事だけでは済まない現場を、それでも愛を原動力に走るひとたちが創り出してくれた作品——そんなエンターテイメントが溢れるこの世界は、やはり面白くて素晴らしい、と思う。私がエンタメを愛している限り、何度読み返してもこの物語は心の柔い部分に訴えかけ、力強く励ましてくれることだろう。


