
こゆび
@little_finger_
2026年8月31日
流浪の月
凪良ゆう
読み終わった
🗓8/17~(🛒2024/4/13)
📝355ページ
P85「白い目というものは、被害者にも向けられるのだと知ったときは愕然とした。いたわりや気配りという善意の形で、『傷物にされたかわいそうな女の子』というスタンプを、わたしの頭から爪先までぺたぺたと押してくる。みんな、自分を優しいと思っている。」
P117「昔から、わたしの言葉は伝わらない。思いやりという余計なフィルターを通されて、ただ笑っただけで『無理をしているのではないか』、ただうつむいただけで『過去のトラウマがあるのではないか』という取扱注意のシールを貼られる。秘密を打ち明けた中学や高校のときの友人もそうだった。あの子たちも、亮くんも、きっと優しいのだろう。
多くの人の中にある『力なく従順な被害者』というイメージから外れることなく、常にかわいそうな人であるかぎり、わたしはとても優しくしてもらえる。世間は別に冷たくない。逆に出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ。」
P156「でも多分、事実なんてない。出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ、泉ちゃんには泉ちゃんの、亮くんには亮くんの。わたしも同じだ。わたしが知っている文と、世間が知っている文は全然ちがう。」
P157「愛情もそうなのかもしれない。世の中に『本物の愛』なんてどれくらいある?よく似ていて、でも少しちがうもののほうが多いんじゃない?みんなうっすら気づいていて、でもこれは本物じゃないからと捨てたりしない。本物なんてそうそう世の中に転がっていない。だから自分が手にしたものを愛と定めて、そこに殉じようと心を決める。それが結婚かもしれない。」
