
図書館マン
@tosyokan-man
2026年8月18日

楽器たちの図書館 (新しい韓国の文学)
キム・ジュンヒョク,
吉原育子,
波田野節子
読み終わった
図書館本
新しい韓国の文学シリーズを制覇したいと思い、図書館に置いてあるものから読む。
平易な文章で書かれているので非常に読みやすい。
「音楽」をコンセプトに書かれた短編集で、日常の些細な部分に音楽の要素が差し込まれている。
・自動ピアノ
→比較的有名なピアニストと、年配で目立たないピアニストの交流の話。こだわり薄めの主人公が映画づてに初めて惹かれるピアノ音と出会い、憧れのピアニストと出会う。わりかし王道な流れで情緒的なTHE・短編の話。
・マニュアルジェネレーション
→誰にでも分かりやすく、商品を正確に説明することを心掛け、消費者が受け入れやすいマニュアルを書く仕事の主人公。マニュアル専門会社で社員たちと共に仕事に励むが、ある日、マニュアルの面白さを伝えるためのマニュアル専門雑誌を作ろうと持ちかけられる。個人的には一番好きな話。
・ビニール狂時代
→DJが趣味の少年は、楽器屋の地下倉庫で友人と共に古いレコードを漁っていたところ、怪しげで目利きの良いレコード好きの大人と出会う。レコードを買わせてもらえると聞いて一人で彼の家に乗り込むも、300枚は選ばないとダメだと言われ軟禁されてしまう
・楽器たちの図書館
→交通事故の瞬間に「何者でないまま死ぬのは嫌だ」と祈ったら生きて帰ってこれたことをキッカケに何かしようとし始める主人公。
彼女が楽器に詳しく、懇意にしている楽器屋でバイトとして雇われながら、さまざまな楽器の純粋な音を録音する。録音した単純な楽器音をコピーして借りれる機械をつくり、「楽器たちの図書館」と呼ばれるようになる。
・ガラスの盾
→双子のように常に二人同時で面積を受ける男二人の話。面接官の前でマジシャンのようなパフォーマンスを数十回繰り返すも結果は全滅。帰りの電車でパフォーマンスに使った絡まった糸をほどき、糸の全長を測るために電車の端から端まで糸を持って歩くと、後日「芸術家」として評価されはじめる。
・僕とB
→CD屋に務める僕の店から窃盗をしたB。後日、Bがエレキギターでパフォーマンスをしている場面に僕が出くわし、やがてギターを教えてもらう仲になる。ギターを教わった数日後、なぜか二人とも太陽アレルギーになる。ギターによって生まれた心臓の熱が太陽からの日差しと反応して、皮膚の表面がピリピリするのだと持論を唱えるが……
「誰かに認められるというのは、体のなかにあった石ころを一つ取りのぞくことと似ている。たとえ数グラムでも心の重さが減っていく。Bがギタリストとして成功できるかどうかはわからないが、心の重さを減らした分だけ、成功に近づいていくのだろう」
・無方向バス
→母親が失踪し実家に帰る息子。自分の部屋を見てみると母から譲り受けた大事なノートがなくなっているのに気付く。そのノートは母が商売でツケた人のリストでもあったため、いまだにツケを返さない人のところに向かったのではないかと考えるが、ツケた人々の自宅に母の姿はいない。ノートにバスの番号が書いてあったため、バス会社の人々に聞いてみると、どうやらバスをよく観察する人にしか知り得ない、規定ルートから外れる「無方向バス」という都市伝説めいた話が出てきて……
・拍子っぱずれのD
→僕とDは学生時代合唱部だったが、Dは音痴でDが歌うと周囲のリズムが崩れていた。合唱本番当日では口パクをしろと言われたが本番でも歌い出してしまい、先生にビンタされてしまった。それから数十年後、舞台の専門プロデューサーの職についていた僕は、ある日べつの舞台で拍子はずれにジャンプする大人のDを見つける。ライブDVDの表紙に彼を使うと、そのDから連絡が来て、とあるアーティストの初舞台を手伝ってほしいと頼まれるが……
