
ジクロロ
@jirowcrew
2026年8月19日
ハントケ・コレクション 1
ペーター・ハントケ,
元吉瑞枝,
服部裕
読んでる
クリスマス。その時には、どっちみち必要だったものがプレゼントとして包まれた。家族は互いに下着とか靴下とかハンカチとかの必需品を贈って驚かせ合い、贈られた方は、ちょうどこれを自分でも欲しいと思っていたところだったんだ、と言うのだった。このように、食事を除いて、与えられたほとんどすべてのものに対して、いかにも素晴らしいプレゼントを贈られた人のように振る舞った。私は心から、たとえば一番必要だった文房具をもらったことに対して感謝し、それをいかにもプレゼントらしくベッドの傍らに置いて寝たものだった。
(『幸せではないが、もういい』)
読んでいて、胸の苦しさの持続。
ずっと息を止めて読んでいる感じがする。
地上にもグランブルー。
この調子で最後まで続く、著者の書いているときの心境は、はかりしれない。
「必要」をギフトと呼ぶことができないからこそ、「贈与」という概念が輝く。
「余剰」こそが、やはり「幸せ」に近しいのではないかという思いは、間違いでないのではないか?というか、それが現実ではないか。あらためて考えさせられる。
「幸せではない」、
この判断には、ある程度は客観性が含まれている。それが「悲しい」の正体ではないか。
「もういい」、
その言葉の温度感こそが答えであるような気がしてならない。


