端隅
@R_nut
2026年8月20日

戦争の歌
松村正直
読み終わった
日清戦争から太平洋戦争までの戦争の歌51首が鑑賞のポイントとともにまとめられている。
歌を詠む人が戦地や戦況の情報をどう得ていたか(限られたニュース映画や新聞が多く、大本営によるプロパガンダの影響も大きい)など注意すべき点はあるけれど、当時を生きた人々の感慨や思いが伝わる。時代順で、その時々に起きた事件等を追いながら読めるのもいい。
日露戦争の開戦にあたって、明治天皇が「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」と詠み、太平洋戦争前の御前会議で昭和天皇がこの歌を読んだとか。軍部がこれを開戦容認と捉えるなんてどういうことなんだ……と混乱する。止めてほしかったし、これを繰り返したくない、と思う。戦争に向かっていく空気のなかに、敵陣の若者や子どもを詠んだ歌や厭戦の歌があることが救いのように思われた。
解説で、斎藤茂吉の「制服的歌」をとりあげていて、身につまされる。いまの時代の空気とか自分の気持ちを残しておきたいと思うけれど……時事詠は難しいね。