
くらな
@3bus_0830
2026年8月21日

原稿零枚日記
小川洋子
読み終わった
再読
読書会
あの時母はもう準備を進めていたのだ。少しずつ声だけをまずあちらの世界へ送り届ける準備を。なのに私はそんな重大な事態に気づきもせず、ただ沈黙をどうやってやり過ごそうかとそればかりに囚われていた。その上更に、母との最後の会話も忘れてしまった。きっと、最後の時があったはずだ。その時母は、さあいよいよこれを手放したら後にはもう何も残らない、おいう最後の一声を私に発し、それが娘の掌に落ちて消えてゆくのを見送ったに違いない。

