Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
くらな
くらな
くらな
@3bus_0830
よく晴れた暖かい日の午後、アンバー氏に会いたいと思ったら、裏庭の木立に沿って並ぶベンチを探したらいい。枝葉の影が差していない、日溜りの真ん中にあるベンチに彼は腰掛けている。骨ばった背中を丸め、心持ち首を傾け、左側の目を日差しの方に向けてじっとしている。
  • 2026年2月18日
    ダンス
    ダンス
    やっぱり下村さんの背筋はまっすぐに伸びていた。そのすっと伸びた下村さんのすぐ奥にハイティーン・ブギを潰した下村さんもいて、かまぼこ時代の下村さんもあの日ピアノを弾いた下村さんもちゃんといて、その下村さんたちも一緒にすっと背を伸ばしているように思った。
  • 2026年2月17日
    ジニのパズル
    私たちの歴史は、誰もすすんで開かない教科書などではない。私たちの歴史は音楽の中にある。私たちが流した涙は詩の中にある。辺りは闇に包まれ、この惨めな人生は微かな音を立てることもなく終わるのだろうと思った中でもら唄うことを、踊ることを、笑うことを決して忘れなかった先祖のその心は、時空を超えて私たちと共にある。
  • 2026年2月14日
    花粉の部屋
    花粉の部屋
    「通りを二、三本へだてた所に母が越し、わたしは父と残った」本書の主人公、ヨーの両親の別れは、冒頭のこの一文でかくも簡潔に語られる。抑制されつくした、乾いた語り口。限界まで削られた言葉。悲しみや不安、孤独はけっして訴えられることはない。ヨーのあらゆる心の動きや感情は、目の前の事象に、あるいは行為に、あるいは事物へと鮮やかに転換され、視覚的に提示される。
  • 2026年2月13日
    アカデミー賞入門 (角川新書)
    「映画は、私を世界中へと連れて行ってくれます。そして、お互いの違いを認め、尊重することを教えてくれるのです。同時に、私たちがどれほど多くの点で似ているのか、その人間性も示してくれる。どこから来た人であっても、映画館の中では一緒に笑い、一緒に感じ、一緒に希望を見出す。それこそが芸術の力なのです」
  • 2026年2月8日
    異類婚姻譚
    異類婚姻譚
    私は過去に付き合ってきた男たちと過ごした日々を、ほとんど思い出せない。また不思議なことに、私と付き合う男たちは皆、進んで私の土になりたがった。そして最後は必ず、その土のせいで根腐れを起こしかけていると感じた私が慌てて鉢を割り、根っこを無理やり引き抜いてきたのだった。
  • 2026年2月4日
    はくしむるち
    はくしむるち
    沈みかけの夕暮れが、赤赤と雲の合間に見えて、そこから日射しがそそいでぼくらを橙色に照らす、水しぶきと歓声、濡れる服、足の指のあいだに絡みついてくるヤドカリと小石、夕日が水平線のうえにかさなって、カッと強さを増し、一瞬なにもかも真っ白になる、そしてつぎに目をひらくと、瞼のなかに、おぼろげな輪郭の線だけになった僕らの姿が、徐々に、つぎつぎと浮かびあがってくる。
  • 2026年2月3日
    死んでいない者
    本当にそこには何も理由や経緯はなかったのかもしれず、幽霊みたいにふたり歩いていって、浜に腰を下ろし、波の音を聴いていたのかもしれない。そうだったらいい。
読み込み中...
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved