
ドッグストエフスキー
@dogstoevsky
2026年8月24日

読み終わった
面白かった!
「クマ問題」を熊の生態系から日本の産業構造の変動、江戸時代から現代にかけての狩猟文化の変化まで網羅しながら丹念に解きほぐす。そこからの狩猟の公共性に至る議論は無駄がなく唸らせられる。狩猟や熊を見る目が変わる。読みごたえがあった。10年前の本なので今とは違うことも多々あるだろうけど、それでも勉強になる。人間側が熊に出会った時に威嚇行動を取っていないから彼らが「図に乗って」しまうのではないかという指摘、狩猟と農耕は対立するものではなく補完し合うものだという主張なんかは盲点だった。熊が都市に降りてくるようになったのはさまざまな要因が絡まり合っているが、そのひとつがイヌの放し飼いがなくなったからというのも面白い。熊が子殺しをするというのも初めて知った。その時に肉食傾向が強まる、というような解説があった気がする。うろ覚え!
意外な面白さがあったのが、今でいうマタギがいた集落では、狩りの収穫は村全体で平等に分け合ったという点。猟犬ですらもその中に数えられたという。狩りができるのは山の神のおかげ、ひいては村全員が報酬に値すると考えていたかららしい。狩猟採集民の社会では狩りに参加していない成員にも平等に成果物を分け与えることがたびたびあるらしいけれど、日本のマタギ村でもそうしたことが行われていたのは興味深い。
最後に。「なんかゆる民俗学ラジオで聴いてたマタギサミット開いてそうな人だな〜」と思ったら著者は主催者でした。
