
torajiro
@torajiro
2026年8月25日

古墳時代の歴史
松木武彦
読み終わった
audible
タイトルの通り古墳時代の歴史を通史的に概観するという内容。本書の出版は2025年の10月。なぜこのタイミングでこのシンプルなタイトルの本が成り立つのかといえば、さまざまな遺物の年代特定法が発展してきたことや古代の気候研究の精度が高まってきたことなどにより編年体による古墳時代の歴史記述が可能になってきたから。弥生時代からの変遷、そして古墳時代の最盛期への動きと閉幕はやはり古墳という目立つ遺構があることから前後の時代から浮いているような印象があって気になっていた時代でもあるのでこういう本が読めるようになってきたというのはありがたいですね。
北九州、瀬戸内、山陰、近畿・東海、東海・関東の各方面の勢力圏の成り立ちや相互作用を古墳自体の形式や副葬品の系統などから分析する視点や、中国・朝鮮半島などのグローバルな環境の変化の影響の考察など興味深く読んだ。大古墳の規模と大王の存在を短絡的に結びつけない方が良いことなどはその通りかと思う。本書では古墳の機能、意義として門閥氏族の威信を示すメディア的な側面が強調されていたけれど、ここに当時の宗教観も含めた贈与経済的な意味合い(神への贈与による負債の解消)などの側面も絡むのだろうな、という感覚は各勢力圏同士の取引ネットワークのあり方の話からも強まった。
まだまだわかっていないこと、断定できないことも多い魅力的な時代だと感じるので今後の研究の進展も楽しみです。
