
ぽぽ
@wakio
2025年4月3日

数学の真理をつかんだ25人の天才たち
イアン・スチュアート,
水谷淳
読み終わった
『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』読書記録
フォン・ノイマンの伝記を読んだことをきっかけに、数学者の人物史に興味を持ち、本書を手に取った。Amazonで検索して見つけたもので、数学の世界の偉人たちの人生に触れてみたいという素朴な好奇心から読み始めた。
本書には特に「この人が一番」という人物はいなかったが、それぞれがまったく異なる個性を持っており、どの章もそれぞれに興味深かった。25人の天才たちの物語を追う中で、「いろんな人生がある」ということをしみじみと感じた。また、時代背景や国も多様で、数学の進展にはその人が生きた社会や文化、歴史的な環境が大きく影響することも見えてきた。そのような視点に触れたことで、自分自身が置かれている現在の環境も少し俯瞰して眺めるような感覚を得た。
一方で、数学の中身に関しては難解な部分も多く、トポロジーなどはまったく分からなかった。しかし、「分からないなりに面白い」という感覚があり、読むことが苦にならなかったのが不思議だった。大学でも一応数学に触れてはいたが、あまり真剣に取り組んでいたわけではなく、深く理解できていなかったという実感がある。そのため、本書に登場する現代数学の世界は、未知でありながらもどこか魅力的に映った。特に集合論や論理学に近い領域には関心が惹かれ、大学時代に夢中になった論理学の講義のことを思い出した。高校までに学んだ数学が、現代数学から見ればごく古典的な部分にとどまっていたという気付きも新鮮だった。
この本を読んだことで、「数学を改めて学び直したい」という気持ちが芽生えた。ただ数式を解くのではなく、数学という営みそのものに対する理解を深めたいという知的な動機づけが得られたことは、本書の最も大きな収穫だったかもしれない。
