9zilla "華氏451度〔新訳版〕" 2026年8月26日

9zilla
@whi1e
2026年8月26日
華氏451度〔新訳版〕
華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ
『華氏451度』読了。モンターグの心情の変化、物語のヒリヒリとした臨場感がよかったが、特に印象に残ったのは ・ベイティーの「第四の壁」を超える語り:様々な文学や劇からの引用や読者に訊くような語り口 《ものの喩えを証と見あやまり、とめどない饒舌を偉大な真理と履きちがえ、おのれのことばを神託と思い込む愚かさは我々に生得のものである》とかつてヴァレリーはいった、とな 放課後、きみらがいじめたり殴ったりする相手に選んだのは、そういう俊才君じゃなかったか? ・物語の端々から見られるとても高い精度の、未来予知のような世界設定:耳や目に常時つながれた情報装置、短縮していく情報の数々 ベイティーがモンターグに言った「これ(昇火士)はお上のお仕着せじゃない。声明の発表もない、宣言もない、検閲もない、最初からなにもないんだ。引き金を引いたのはテクノロジーと大衆搾取と少数派からのプレッシャーだ。」ということば ・モンターグの内面/記憶の変化:妻との思い出を最後の衝撃の間際に思い出すという構成。隠したいものがモンターグを覗いているという表現。分裂していた内面を一つにし最後に「鏡」を作っていくという話。思い出し語り掛けてくる"伝道の書"と"黙示録"の一部 サスペンス小説ではなく、読み手を変えうる啓発的であり、啓蒙的な、哲学的な小説だった 各々、記憶しておきたい本があって記憶した。 我々は決して重要人物などではないということだ。 知識をひけらかしてはならない。 他人より優れているなどと思ってはいけない。 我々は本の埃よけカバーにすぎない、それ以上の意味はないのだからな。
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