ななり "群像 2026年 8月号" 2026年8月27日

ななり
ななり
@bluebook_mark
2026年8月27日
群像 2026年 8月号
「窓の中の私」北条裕子 時間の書き方に少し掴みづらいところがあるものの、抑圧とそれからの解放を望みながらも自らのうちに存在する諦念と相対する“私”の生きる息苦しさが、現実と幻想のあわいに揺蕩うように描かれていて良かったと思います。省みるだけならば、あるいはひかりある部屋の《鏡》でも済む物語かもしれない。けれど彼女が見ているのは、闇が無ければ立ち上がらない、それごとの内側の虚像めいた己の在り様や過去なのではないだろうか。 「こういう音で形とか愛」杉森仁香 大仰な語り口(成瀬あかりのような)に序盤はやや辟易しながら読んでいたのですが、中盤以降、主人公の鍍金が剥がれ始めて本当の人間性が見えてきたり、偽のSNSアカウントの方が注目され始めると、天才鬼才として何かを生み出すことができない人間の努力して演じる自分に対して悲しみが湧いてくる。何も手の中にないからこそ、素直でいることは難しい。
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