Ayako "" 2026年8月28日

Ayako
Ayako
@aya_rb
2026年8月28日
声
アーナルデュル・インドリダソン
アイスランドのミステリシリーズ、第三作目。 やはり哀しい物語であり、家族という集団が内包する暴力性と、保護されるべき子ども、ケアの立場を押し付けられる女性が、他者の欲望に翻弄され搾取されることへの怒りが描かれている気がする。 作者は一番大切なのは家族と子ども、と言っているそうで、それは字面だけ見ると偏った家族主義への懸念が湧いてしまうけど、9世紀以降、大きな人口流入がなく、何代も家系を遡ることができ、ほとんどの人がどこかでつながっているという、国民全体がひとつの家族のようなアイスランドの土壌を考えると、それは社会全体で子どもを慈しむこと、不幸な大人を生み出さないことへの切実な願いのようにも感じる。 トラウマを背負い、それゆえ孤独に退避しセルフネグレクト気味に生きてきた主人公の人生が、少し光の射す方を向き始めたことはなんだか嬉しい。それは、弱さや傷に向き合うことを拒んできた中年男性が、周囲が手を差し伸べるケアを受け入れ、また自らをケアすることの始まりでもある。第一作と今作では、同僚との関係も違ったものになってきているのが良い。このシリーズはまだまだ読もうと思う。 訳者あとがきに女性の休日のことが触れられていたのも嬉しかった。
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