みずたま "最後の山" 2026年8月28日

みずたま
@readslll
2026年8月28日
最後の山
最後の山
石川直樹
石川直樹さんの著書をたくさん読んできたが、これは一番好きな一冊になった。彼の文は男性登山家らしいマッチョさ・男性らしさがいつも極限まで切り落とされていて(※石川直樹さんご本人は自分のことを「写真家」と称していますが、ここではあえてこう書く)、読んでいてとても清涼感がある。スピ感もなく、現実主義。 本書のなか、とくに後半ではフィクションと見間違えるような現実が次々と起こる。石川さんの著者で「地球に星座をつくる」と題したものがあり、それを思い出した。いくつもの点がつながり、そしてそれは積み重なって形になり、「起こる」ということを、今回の一冊からより強く感じた。人の死に直面することは、夜空の星座の見つけたときのような怖ろしさに似ているのかもしれない。そしてそれを本書では決してドラマにせず、淡々とした事実や記録のような語り口が印象的だ。この行いこそがドラマのように感じた。 以下ネタバレ含む自分用メモ 2023年、14座目、最後の山・シシャパンマにて、石川さんのザイルパートナー(相棒)として共に山をのぼったキルー氏が、2026年8月に山の事故で帰らぬ人となった。 https://www.instagram.com/p/DbqKKroCTqY/?stkn=MXhjdTR4bXd3ZzNtbA== 2023年、アメリカ人女性初の14座登頂を目指して、競うようにシシャパンマをのぼる二人の女性がいた。本書にもあるが、二人と、それぞれについていたシェルパは登頂寸前で雪崩により滑落し、一人を除き帰らぬ人となった。 そのうちの1人目の滑落を目と鼻の先で目撃したのが、後を追ってシシャパンマをのぼっていた石川さんとキルー氏だった。石川さんも14座登頂がすぐそこにある状況だったが、目の前で雪崩が起こったことで登頂を試みるか悩む。複数人を交えながら悩んでいるとき、キルー氏は「引き返そう」とはっきり言ってくれたという。そして、石川さんは下山をはじめようと、いまだ登頂を目指すもう一人の女性登山家に背を向けた。しかし、その女性も登頂寸前に雪崩により滑落する。 2024年、アメリカ人女性初の14座登頂が静かに達成される。以下のリンクはその人物がキルー氏に宛てた追悼文である。 https://www.instagram.com/p/Dc6G8A_G2-Z/?stkn=MTdnM2lmcndyZTN6aA==
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