
ジクロロ
@jirowcrew
2026年8月29日
H・P・ラヴクラフト
スティーヴン・キング,
ミシェル・ウエルベック,
星埜守之
再読。『崩壊概論』(シオラン)と『ヨハネの黙示録』(小河陽訳)の平積みに挟まれ横たわる背表紙。ちょうど一年前に購入した本。
現実が無意味だ、大人は糞だと感じることを、ただの感傷で終わらせないために書かれる本もある。
"そして、人間のあらゆる行動は、素粒子の自由な運動のように奔放で意味を欠いている。善、悪、道徳、感情?単なる「ヴィクトリア朝風の虚構」だ。
ただひとつ、エゴイズムだけが存在する。冷たく、揺るぎなく、輝かしい形で。"
(p.43)
"「わたしはもはや短編を書くのではなく、気が向いたときに夢を見よう、しかも、自分の夢をくだらない読者のために書き記すなどという下品なことのために立ち止まったりせず、単に夢を見よう、とほとんど心に決めました。文学はジェントルマンにふさわしい目標ではなく、書くこととは、たまに分別をもって没頭すべき優雅な芸術以外のものとは決して見なすべきではない、そう判断するに至ったのです」。"
(p.53)
「昨日の夢」、「将来の夢」。
夢を語るとき、今、そこにないこととして語られる、それが普通。
今そこにない夢、その夢の時制の所有格を成立させる土台が「現実」とされる現実。
現実を義務とするならば、夢は権利。
「単に夢を見よう」とは、簡単にできることではない。
シュルレアリスム、略して「シュール」は、レースのカーテン、「ヴィクトリア朝風」とは材質が全く異なる。
「単に夢を見よう」
これができるのは、自分の中にある、自分の中にしかない、どうにもならない怒りとその昇華。
「今そこにない夢」、
それが怒りの根源であるのかもしれない。
怒りと音楽
俺の生き方
それでいて死に様
瞬間は道半ば
正気を保つ
badを殺す
要らない物ばかりの頭で声がうるさく響くと
また一つの問題と向き合うテキスト
瞳の奥描く
光るとアメジスト
世界はただ変わる
(『Jiga』 JJJ)
エゴイズム、Jiga、
激しい怒り経由、私だけのアメジスト。
ただ変わる、世界が負うている意味死すと。
「LOVECRAFT」、
すべて大文字でのさばってこその真の創作、
ブリコラージュを超える、ただ欲しい(LOVE)からつくる、純正の卑金属から始まる錬金術(CRAFT)。
ラヴクラフトの夢は義務となり、現実は権利となる。
天使ではなく、あくまでも「冷たく、揺るぎなく、輝かしい形で」。
醜い異形を美しい異形に仕立て上げることこそが真の異議であり偉業なのかもしれない。
振り下ろす槌から昇華する怒りの火花。
そして平積の沈黙と温かい布団と穏やかな眠りとが
「単に夢を見る」ことの寝仕度。


