
もん
@_mom_n
2025年4月4日

象の皮膚
佐藤厚志
読み終わった
心に残る一節
@ 図書館
私は幼少期からアトピーで苦しみ続けている。
一年中アレルギーの薬を飲み、ステロイド剤を塗り、長袖長ズボンで過ごしている。
他人から「私も昔アトピーだったよ」と言われても相手は綺麗な肌を持っていて、疎ましく思うこともある。
この本にはちゃんとアトピーの苦しみが書かれていて、仲間を見つけた気持ちになった。
p.112
凛は皮膚を晒されることを警戒して、できる限り皮膚の話題を避けて生きてきて、他人の視線や注意をいくらかでも自分から遠ざけることに腐心してきた。始終自分の皮膚の状態や人の目が気になって、皮膚が人生の多くを占めてしまっていた。皮膚が自分自身だった。皮膚の苦しみを知ってもらうことは自分を知ってもらうことだった。
p.138
凛は、ものごころついた頃から自分の魂を側に感じた。自分から分裂した魂がつかず離れずに側にあり、衛星のように回転していた。衛星がいつも痛みや苦しみを代わりに受けてくれた。その衛星が今もっとも近接していると感じた。
