

もん
@_mom_n
- 2025年8月25日ゆめがきました三好愛読み終わった再読した@ 自宅三好さんの絵には言葉にはできない魅力と安心感がある。あたたかいのにつめたくて、楽しいのにさみしい。 発想のユニークさや言葉のリズムの心地良さも相まって、何回読んでも飽きない。 地元で原画を見ることができて嬉しかったのを思い出す。
- 2025年8月25日まきさんのソフトクリームくどうれいん読み終わった@ 自宅休日に早起きして絵本を読む。 『母の友』に掲載された時から好きだった『まきさんのソフトクリーム』が一冊の絵本になって多くの人に届いているのがいち読者として嬉しい。 同じ文章でも絵が変わるとだいぶ印象が変わるなあとしみじみしたり、登場人物の名前の可愛らしさにくすっと笑ったり。 タベルスキーさんって良すぎないか。れいさん、じゃじゃさん、わんこさんはみんな麺類からとっているんだろうか。私の推しはコンボくんとたまお。
- 2025年8月22日鳥の夢の場合駒田隼也読み終わった心に残る一節@ 自宅書き出しの1行目で(あ、これ絶対好きなやつだ)と確信した。 最後まで読んで(やっぱり好きだったなあ)と痛感した。 時間、意識、感覚、そういう目には見えないものが言葉となって目の前に立ち上がってきた。 作品全体の温度や手触りもとても心地よかった。 p.3 目を閉じると何も見えなくなった。けど実際には目はまだ、まぶたの裏を見ている。見ることを止めるという機能が目にはない。まぶたの裏は、光がまったくないから見えることがない。だから見えない。けど見ている。 p.51 「正確に言うなら、思い出そうとすると忘れるねん。ぼんやりとした状態のままなら、ぼんやりとしたままつかまえていられる。けど具体的にあのときは、って思い出そうとすると、そこから忘れていく。焦点を合わせようとしたところがたちまち、塗りつぶされてしまう。それって何か、夢みたいじゃない?」 p.75 でもじゃあ夢をみる、という言い方は、こういう感じ方からするとすこしへんな気がする。夢は、みているのではないんじゃないか。そしてきいているのでもなく、さわっているのでもない。それは五感の零番目。五つに分かれる前の感覚。ただただ夢を「覚える」ということ。 p.113 現在をまんなかとして時間を谷折りにし、過去と未来がおなじ方向で重なっているみたいな感覚に変わっていた。過去の到来を想像し、未来を回想するような心地だった。
- 2025年8月22日赤い砂を蹴る石原燃読み終わった心に残る一節@ 図書館太宰のお孫さんが書いた小説と聞き、ずっと気になっていた作品。読んでいる間は太宰のことなんてすっかり忘れていた。 私は登場人物に感情移入して没入するように小説を読むことが多いが、この作品は紀行文を読んでいるような、ドキュメンタリー映像を見ているような、俯瞰的な読書体験だった。最後の一文がとても好きだった。 p.22 家に残された大輝の紺色のジャンパーや黒いランドセルが、大輝だけでなく、死ぬまでそれを手放せなかった母の姿を思いださせるように、目の前にあらわれる大輝の姿には、その気配を追い続けていた母の姿がついてまわる。 p.117 その夜は、惣菜でもつまんでさっさと寝ようと思い、駅ビルの惣菜屋に寄った。よく見もせずに惣菜セットらしきものを買って家に帰り、包みをあけたら、パーティー用のオードブルセットだった。誰もいない暗い部屋で、それは不釣り合いに華やかで、母に言ったら馬鹿にされるな、と思ったら、初めてのどの奥が熱くなった。 p.152 「ふたりの死は悲しい。なのに、その死を否定することもできない。それはたぶん、私自身が自分の人生を否定したくないと思ってるからだと思う。ふたりの存在を抜きにした私の人生は考えられないから。ふたりの存在を肯定するためには、死んでしまったことも全部ひっくるめて、肯定せざるをえない、そういうことなんだと思う。」
- 2025年8月21日星が吸う水村田沙耶香読み終わった心に残る一節@ 図書館性行為にまつわる2篇。村田さんの作品は、生々しい性描写も下品に感じないのがすごいなあと再認識。 p.17 ずっと振り回されていたものを縮小してコントロールできるようになった鶴子は、久しぶりに昼用の薄く短い生理用品を下着に貼り付けながら、ざまあみろと言ってやりたい気持ちになった。 p.95 愛情によって心臓が締め付けられるなら、梓にとっては心臓が性器なのかもしれない。鶴子は、場所すら、足の間に特定しなくてもいいような気がしていた。 p.216 あたしたちは空間なんだ。皮膚に区切られているだけで、小さな暗闇のかけらなのだ。星の光で少し表面が光っているだけで、自分たちは皮膚で区切られた宇宙なのだ。
- 2025年8月18日変半身(かわりみ)村田沙耶香読み終わった心に残る一節@ 自宅私は元々ヤバい登場人物や奇妙な物語が好きだが、『変半身』は奇妙を通り越して本当におぞましかった。ラストはページをめくった瞬間「ヒィッ!」と悲鳴を上げそうになった。読後に表紙の絵画をまじまじと見てますます怖くなった。 『満潮』は一言で言うと「夫婦が潮吹きの特訓をする話」だが、下品な文章にならず文学として成立していることがすごい。決して綺麗とは言えないシーンも眩しく思える。 p.79 何かを知るということは快楽なのだ、それが大嘘であっても。 p.109 「伊波が言うみたいに、なにも信じずに生きていくことができるって、本当に思う?信じないことを信じているだけだろ?なにも信仰しないで生きていくことなんてできないんだ、僕らには」 p.134 自分の感覚を言葉にして発したことで、自分だけの淡い夢として消えてしまいそうだった出来事が、世界に記録されている感じがする。
- 2025年8月17日おきざりにした悲しみは原田宗典読み終わった心に残る一節@ 図書館原田さんの本を読むのは『十九、二十』『メメント・モリ』に続いて3作目。 久々に前向きな小説を読み、晴れやかな気持ちを噛み締める。 p.115 情熱。それは今の自分に一番足りないものだ。情熱さえあれば、何だってできる。情熱さえあれば、どこへだって行ける。そうは思うのだが、今の自分の胸の中はうつろで、何も燃やすものがない。
- 2025年8月17日死神田中慎弥読み終わった心に残る一節@ 自宅単行本には解説がないので、読後に過去の文芸誌を引っ張り出して書評を読む。書評を読みながら(なるほど、確かにそういう解釈もできるな〜)と理解を深めていく作業がまた楽しい。 p.6 夏でも冬でも算数の問題は解けなかった。放課後の居残りを命じた教師は、いくら教えてもうまく筆算出来ないために根負けして、もういいから、と促した。帰りかけて何か忘れたような気がし、振り向くと、自分の席にはまだ自分が座って問題を解こうとしているのだった。私は私を捨てて逃げ出した。分らない問題は友だちに訊けよ、と教師の声が追いかけてきた。教師自身は追ってこようとしなかった。 p.6 私は家でも学校でも、本を読む時間が増えていた。頁に没頭している間はよかったが、ふと目を上げると、世界は消えておらず、全部もとのままだった。 p.43 父には打たれた、家族に尽くし続ける母にもうんざりした、いつも通り死にたくなった、あいつが出てきたら出てきたで早く消えてくれとそればかり念じていた、要するに、今日も死なずにすんだ、死ねなかった、といらいらして、寝入った。
- 2025年8月16日授乳村田沙耶香読み終わった心に残る一節@ 図書館村田さんの小説を読んだのはこれが6冊目だが、『授乳』と『御伽の部屋』は特に好き。 奇妙で不気味で狂気を感じるのに、なぜかそれが心地よくて他人事とは思えない。こういう物語が存在していることは救いだ。 『御伽の部屋』を読みながら、木下龍也さんの「神さまを殺してぼくの神さまにどうかあなたがなってください」という大好きな短歌を思い出した。 p.39 夕焼けが強いときには特に、赤い空にさらに濃い朱色で浮かび上がるなまめかしい鳥居が、意思をもった生き物のようでさらに不気味に見えてしまう。たまにその鳥居の足下に犬の糞が落ちていて、それを見るとき、なぜかわからないが私はざまあみろと思う。 p.134 目をつぶると視界は瞼で遮られてしまい、皮膚の内側に自分が閉じ込められていると思うとその狭さが息苦しく、目を開けずにはいられなかった。 p.155 そうしているとこの人はきっとあたしの神さまなんだとわかる。しかも、あたしをえこひいきしてくれる神様だということが。自分が何か大きくて暖かいものにえこひいきされることに、ずっと憧れていたことを知る。
- 2025年8月13日終わりなき不在佐川恭一読み終わった心に残る一節@ 図書館『人間的教育』があまりにも良かったので、佐川さんのデビュー作も読んだ。作品全体が小説への愛に満ちているなあとしみじみ。 p.122 僕は、自分でも手に負えないことなのだが、自分自身に最も低い評価を下すと同時に、最も高い評価をも与えていた。自分のような悩みを抱えることは、高い知性の現れである、とも考えていたのである。周囲の、楽しそうに大学生活を送る人間たちは、高尚な悩みを抱える思考回路を持たぬ凡人であるように思われた。 p.163 人を信じるには、自分の価値をある程度認めることが必要となる。自分が彼女に本当のことを語らせるだけの能力と価値を持ち、またそれらを今後保ち続けていくことができると確信できた時、初めて人を信じることができる。無価値な自分には彼女を信じる資格すらない。 p.190 俺は生き抜いた人間の悩み苦しんだ足跡が見たい。それは俺が生きたいからだ。
- 2025年8月10日作文小山田浩子読み終わった心に残る一節@ 自宅書店の新刊コーナーに積まれているのを見て(そういえば小山田さんの小説って読んだことなかったなあ)と思い手に取った一冊。 一言一言を噛み締めるように読んでいたら、とても100分では読み切れなかった。 作品全体の乾いた空気感は心地よく、でも書かれた内容は鋭く、読めてよかったという感想に尽きる。 p.12 人間が長生きした果てがこういう作品を嫌々あるいは嬉々として書いたり折ったりしてそれを老人施設の壁に晒されお上手お上手などと囃し立てられることなのなら、人間はどうして生まれてきて生きてきたのかというようなことをうっかり考えそうになる。 p.26 線香から白い煙がたつ、静かに思えるこの部屋にもちゃんと空気の流れがあって煙はあちこちに乱れる、線香を白い灰の中に立てて手をあわせた。子供のころからつい願い事を言いそうになる。 p.88 遠足のこと、運動会のこと、休みの日に家族で出かけたこと、書いているとつるっとなにかが出てくる、本当にはなかったこと、でも、それを書いたらそれが本当になる。嘘を書くんじゃなくて、あくまでも書いていたらそれが出てきたということを書く、私の話にお父さんが泣いたときのように。
- 2025年8月10日人間的教育佐川恭一読み終わった心に残る一節@ 自宅私にとって初めての佐川恭一作品。 固有名詞出まくりのぶっ飛んだ小説たちを笑いながら読んでいたら、最後には寂しさの中に救いのあるめちゃくちゃ良い書き下ろしが入っていて、(この振り幅はずるいだろ……)と思いながらちょっぴり泣いた。 収録作の中で『受験王死す』『ジモン』『はじめての土地』が特に好き。 解説も本当に素晴らしく、これまでに読んできた小説の解説の中でも特に好きだった。 “読者は「これまでのアホなできごとはフィクションでしか起こり得ない」と笑い飛ばす反面、どこかで「似たような弱さを自分も抱えている」という他人事ではない苦しさと切なさを感じる。”という一文は読み終えた自分の感情を的確に表してくれていて、(そうそう、そうなんだよ……)と唸る。 p.13 「励まし合える仲間」とは、自分で自分の面倒を見られない人間の甘えが生む幻想に他ならない。他者との時間はとにかく時間を食うし、何より思い通りにいかない。励まし合おうと思いながら傷つけ合ってしまったり、ささいなことで喧嘩をして関係修復に奔走するはめになったり……はっきり言って、受験生にそんなひまはない。 p.189 だめ人間が救われる必要はなかった。安易な救いは逆に僕をがっかりさせた。僕のような人間が救われるためには複雑に込み入った贅沢な論理が必要なのだし、何よりも相当な幸運が必要なはずだった。そうしたお膳立てをもって救われるような話を読んだって仕方がなかった。だめ人間が徹底的にぶちのめされ、それでいて世界に屈していないようなものを選び、何度もしつこく読み返して、自分の中にため込んでいった。 p.210 なんで書いてるんやろ、と僕は思った。みんなが信じる世界を揺らがせるような悪の物語。その僕のあこがれはすでに世界じゅうにいくつも存在していて、それでも世界は盤石だった。読んでいるあいだにいくら世界が転倒しても、目を離せば元どおり、そこには合理性や効率や愛や快楽の競争がひしめいている。
- 2025年8月9日ミーツ・ザ・ワールド金原ひとみ読み終わった心に残る一節@ 図書館私は主人公に感情移入できる小説を好みやすい。死生観に興味のある私は、この作品の主人公の「死にたいとか生きたいとか、あんまり考えたこともなかった」という発言や死を希求する他者への接し方から(自分とは相容れない人だ……)と疎ましく思ってしまったけれど、それこそ作中にも何度も登場する“バイアス”でしかなくて、結局自分も主人公に通ずるところがあるなあと思い至る。 ライやアサヒも魅力的だけれど、私がこの作品で一番好きなのは鵠沼藤治だった。 読み終えてから映画のキャストを見て、(なるほど、奥山譲がくるまさんか〜)などと想像してみるのもまた面白かった。 p.120 「死ぬべきタイミングは日常の中にたくさんあるのに、それでも私は一日一日死に向かってるんだから大丈夫って自分をなだめてお酒を飲みながら生きてる。一日一日自分が死に向かってるっていう事実だけが私の生き甲斐で、私の生きる意味」 p.135 でも、私は希薄なのだ。それこそ重荷が少しでも増えたら、社内で少しでも責任のある仕事を増やされたら、彼氏ができて彼氏に捧げなければならない部分が少しでも増えたら、それだけで実生活がつぶれて私のやりたいこと好きなもの実現したいこと、つまり私が私であると認められる私のほとんどの部分が潰えてしまうような、そんな希薄さなのだ。 p.255 「みんな俺に彫刻を彫ってもらいたがる。俺は彫刻の才能なんて一ミリもないのに。彫刻作ってってせがむ。仕方ないから彫るけど、俺は下手だから彫刻はどんどんぼろぼろになっていくし、彫刻刀で自分のこともザクザク切っちゃうんだけど、それでも掘り続けてってせがまれる。彼女たちはぼろぼろになっていく彫刻を見て傷ついて、俺は血まみれになって心で泣く」 p.269 「僕の世界には死はなくて、むしろ、吸収に似たものと捉えています。死とは、何かに吸収されていくこと。煙になったり土になったりして、何かに溶け込んでいく。記憶として残った誰かの中に吸収されていく。死は存在せず、吸収だけがある。僕はそう考えています」
- 2025年8月4日送り火高橋弘希読み終わった心に残る一節@ カフェ私は小説における暴力描写が好きだが、表題作の暴力描写は今までに読んできたどの作品よりも怖くて痛かった。途中で何度も息を止めた。凄惨なのに目が離せなくて、顔面を歪ませながらなんとか読んだ。凄まじい筆力。 p.27 小学生の子供達が、路傍で天を仰ぎながら、風が咲いた、風が咲いた、とはしゃいでいた。歩は子供達を横目にしながら、彼らにまだ言葉が足りないことを微笑ましく思った。しかし自宅へと続く坂道を登る頃になると、晴天の白い雪片は花弁にも見え、風が咲いた、というのはあながち間違えでもない気がした。 p.119 後方から何者かに摑まれ、その手はどうにか振りほどいたが、バランスを崩して前のめりになり、右脚で踏ん張ろうとすると、地面は滑らかに崩れ、その場所に肉体が沈んだかと思うと、視界は目まぐるしく回転し、一瞬、森が開け、目の前に色濃い夏空が広がり、その直後すべてが暗闇に鎖された。 p.162 雨が過ぎると、前庭にはいくつかの水溜まりが残されていた。どの水溜まりも、均等に雨後の青空を映している。だから地面に、小さな青空がいくつも落ちて見える。
- 2025年8月1日あなたに安全な人木村紅美読み終わった心に残る一節@ 自宅忘れかけていたコロナ禍や震災後の不安感が文章に滲んでいた。わかりやすいハッピーな作品ではないけれど、作品全体の冷ややかで張り詰めた空気がじめっとした熱帯夜には心地よかった。 p.77 いつからか、そんなつもりじゃなかった、と振り払いたくなる出来事ばかりを自分は引き起こし、積み重なり、冬山を転がる雪玉のようにふくれあがり、落ちる速度が増してゆくのを止められない。 p.128 「このまま、けっして、顔は見せあわないで。互いの気配は、ときどき、幽霊がいるのかな、とでもびくっとさせるくらいに漂わせるのが理想です」
- 2025年7月29日地ごく献鹿狸太朗読み終わった心に残る一節@ ファミレス『地ごく』と『天獄』の2篇、どちらも面白かった。特に『地ごく』のエネルギーに満ち溢れた久野の語りは読んでいてとても気持ちがいい。 私はやっぱり救いのない物語にこそ救われている。 p.19 痛みを知っているから優しくなれる人間なんて初めから選ばれた一握りの存在で、その他大勢のカスは自分の受けた痛みや挫折をほかの誰かに味わわせることに注力するものだ。苦しみのノウハウは予防でなく謀略に再利用されるのだ。みんながみんな足を引っ張り合うものだから、足の引っ張り方ばかり上達していった。 p.31 地獄に堕ちるのは罪を犯した者なのかもしれないが、地獄に堕ちる人間によって現世を地獄にされている生き物の方がずっと苦しく救いがなかった。 p.78 いくら美しい花でも、小さなプランターから出られなければ自分の根っこで溺れるしかなかった。大地に根を張って他者と繋がれない限り、己の妄想が杞憂であれ真実であれ正解に辿り着くことはできないのだ。 p.104 上を見たって下を見たって救われないから、やがては後ろを向いてしまう。戦略的撤退ではなく、無計画な敗北がいつも耳元で愛を囁いた。こと弱者にとって敗北はルーティンで、現状維持は唐突な幸福より身体に良かったのだ。いつ取り上げられるかも分からない幸せなど、なにがあっても離れてくれない惰性の不幸より信用がなかった。
- 2025年7月28日あした死のうと思ってたのに吉本ユータヌキ読み終わった@ 自宅どの話もしみじみと良いが、『ただそこにいただけで』が特に好きだった。 元々動物にまつわる作品を観て/読んで感動するタイプではないが、ププが似顔絵を見て泣くシーンと逃亡するシーンにはなんだかとてもぐっと来て、思わず泣きそうになった。 “ただそこにいるだけでいい”というメッセージも良い。
- 2025年7月21日生命式村田沙耶香読み終わった心に残る一節@ 図書館最近夏バテのせいか食欲が減退しているが、この本を読んだらますます食欲がなくなった気がする。言葉が人間の三大欲求に影響を及ぼすってすごいことだ。 『孵化』は特に刺さった。仮面を被って生きていることに悩んでいた数年前の自分に教えてあげたい。 p.24 おまえら、ちょっと前まで違うことを本能だって言ってただろ、と言いたくなる。本能なんてこの世にはないんだ。倫理だってない。変容し続けている世界から与えられた、偽りの感覚なんだ。 p.50 「だって、正常は発狂の一種でしょう?この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶんだって、僕は思います」 p.243 スーパーの売場に冷たく横たわっている野菜の死体にはない、生きた味わいに内臓が揺さぶられる。私はこの街の破片に嚙みつき、唾液で溶かし、飲み込み、腹の中へ落としながら、ひたすら灰色の歩道を進み続けた。 p.259 私には性格がないのだ。 あるコミュニティの中で「好かれる」ための言葉を選んで発信する。その場に適応するためだけに「呼応」する。ただそれだけのロボットのようなものだったのだ。
- 2025年7月19日バンドクリープハイプ,木村俊介心に残る一節再読した@ 自宅来週の武道館公演に向けて、約一年ぶりに読み返した。 一年前はクリープハイプのことをほとんど知らない状態で、クリープハイプを知るためにこの本を読んでいた。 一年経ってクリープハイプのこともメンバー4人のことも大好きになってから読むとさらに沁みるものがあり、途中で本を閉じて楽曲を聴いたりしながら大事に読んだ。 こんな中身のない感想しか言えないことが本当に悔しいけれど、とにかくよかった。 p.292 「怒り」にはいいところもあるんです。それはなにかと言えば、「怒りは、怒りでしかない」というところ。「怒り」は、それ以上の「いいもの」にはならない。ぼくとしては、そこの「純度の高さ」がいいと思っていました。
- 2025年7月19日丸の内魔法少女ミラクリーナ村田沙耶香読み終わった心に残る一節@ 図書館ここ最近集中力がなくてなかなか小説を読み進められないなあと思っていたが、一ヶ月ぶりに村田さんの作品を読んだらエンジンがかかったように一気に読めた。 “一気読み=よい作品”だとは思っていないが、この本はページをめくる手が止められないほど面白かったので確実によい作品。 『秘密の花園』は村田さんの短編の中でも特に好きかもしれない(まだ読めていない短編がいくつもあるけれど)。 『変容』も喜怒哀楽の“怒”を最も大事にしている自分にとても刺さって好きだった。 p.194 「大丈夫。僕たちは、容易くて、安易で、浅はかで、自分の意思などなくあっという間に周囲に染まり、あっさりと変容しながら生きていくんだ。自分の容易さを信じるんだ。僕たちが生まれる前からずっと、僕たちの遺伝子はそれを繰り返して生きてきたじゃないか」
読み込み中...