
Anna福
@reads--250309
2026年8月29日

教授の家
ウィラ・キャザー,
加藤洋子
読み終わった
タイトルと、教授が執着する古い書斎は、過去に留まろうとする教授の内面を象徴しているように思う。トムは教授にとって特別な存在で、その記憶への沈潜もまた、現在を生きる力を失い、生の側から後退していく姿に見える。
トムの第一次世界大戦での戦死は、その背景を考える鍵なのかもしれない。教授の生活圏では戦争の影響が比較的遠かった中でトムは戦死し、その遺産は娘夫婦によって商業化され、妹夫婦との軋轢を生む。
それを目にし、家族に無関心になっていく教授もまた、間接的な戦争被害者なのでは。
現代の読み手からすれば、社会的地位もあり、美しい妻と娘夫婦二組に恵まれた教授の孤独感は、中年期の抑うつ、あるいはナルシスティックな孤独に浸っているようにも見えなくもない。





