みくら "海軍めしたき物語 (新潮文庫..." 2025年4月4日

みくら
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@mikura727
2025年4月4日
海軍めしたき物語 (新潮文庫 た 22-1)
太平洋戦争開戦直前、海軍に徴兵された著者が配属されたのは、炊事を担う烹炊科。日中戦争を戦った旧兵たちの激しいシゴキに耐えながら戦艦〈霧島〉の艦底で来る日も来る日も味噌汁をかき混ぜる日々の中、ついに真珠湾攻撃が始まる……。 戦争の悲惨さを綴る兵士たちの手記は数あれど、全く戦場に出ない非戦闘員の目線で語られる作品は珍しいのでは。 軽妙なタッチながら描かれる従軍の日々はとても過酷。また著者自身を含めて登場する兵士たちはみんないい意味で小心者。勇ましさなどかけらもない、ただ静かに一日一日を生きたいだけの等身大の男たちであることが大変にリアルで、そんな彼らが怖くても辛くても叫んでも故郷に帰してもらえず「お国のため」と軍に駆り出されている苦しみが胸に迫ります。これが戦争というものなんだと。 今読めてよかったなぁと思う一冊。
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