"ゾラ・一撃・さようなら" 2026年8月30日

@sotaono
2026年8月30日
ゾラ・一撃・さようなら
p21 「「探していただきたいものは、古い美術品です。天使の演習と呼ばれているものです。」」 p29 「そう、なんでも同じ。最後は引き金をひいて、ばん、で終わり。あっけないものだ。余韻に浸るしかない。だから、せいぜい、そのまえの楽しみを引き延ばさないとね。」 p58 「弱くなっているんじゃないよ。弱い部分を見せるようになるだけだ。僕はそう思ったけれど、口にしなかった。まだ、もう少しは強がっていたい、という子供じみた若さを自分の中に探していたから。」 p64 「髪が長くて、女性かと思ったが、近づいてみると男性だとわかった。色のついたメガネをかけている。」 p71 「「男には、見えないところに女がいる。女には、見えないところに男がいる。」法輪は言った。「隠れているのが男、という方が恐いだろう?」」 p95 「誰かと会っているとき、別の誰かのことを思い浮かべるのは、たぶん、頭の中にいる天使が悪戯をしているせいだと思う。悪魔なら一途だし、こんな知恵はないはずだ。」 p106 「「次は、いつ、どこで?」僕は言葉を思いついた。そう、それをまだ決めていなかった。「いつでも、どこでも。」彼女は囁くように言った。「それじゃあ、明日にでも?」「ええ。」綺麗な口の形で、彼女は頷いた。」 p114 「どうも、人間という生きものは、満足を求めすぎるのではないか。癒される時間、リラックスできる時間を求めすぎる。優しさや静けさを求めすぎる。しかし、本当にそれらがそんなに大事なのだろうか。もっと不安定な、もっとどきどきするような時間の方が実は大切なのではないか。そんなことを、考えたりする。そして、そんなことを考えている自分が、非常に微笑ましいのだ。くすっと吹き出してしまうほど。」 p115 「真実なんて、大した価値はないのだ。自分の手が何に触れているか、自分の足がどこを歩いているか、そして、自分の頭がそれをどう感じているか、それが現実のすべてだ。」 p121 「「一途というわけですね。」「一本道ではなかったが、目的地は忘れていない。」」 p125 「「知らないかな?蓑沢素生だよ。」」 p149 「そう、このとき、今が楽しければ、なんの不都合がある?」 p152 「「そう。僕は、車を運転するのが好きだけれど、どうし好きなのかなって、理由を考えてしまう。それで、エンジン音が好きなんだ、この空冷の音じゃなければ駄目なんだって、どんどん拘っていくんだよ。本当は、ただ、ぼんやりと楽しいだけなのにね。そうやって、理由を探してしまうから、自分を限定して、突きつめていく。追いつめていく。」」 p165 「ところが、甲冑の胸に、十字架が飾られているのに気づいた。アクセサリィにしては、やや大きい。近づいて、よく観察してみると、十字架ではなく、短剣のようでもある。ナイフが鞘に収められているのではないか。しかし、大小の宝石が幾つも塡め込まれ、細かい細工が施されている。銀色に見えたが、材質が何かはわからない。」 p176 「「いえ、していません。詩を書くことができたのは、僕が口で話して、それを書き取ってくれる人がいたからです。今は誰もいませんので、つまり思いついても、覚えているだけ。覚えているだけだと、次の日には風化してしまいます。残るものはありません。」」 p189 「「十を書こうとすれば、どうしたって、百を知ることになります。百を知らなければ、十が書けません。」「度胸も良い。どうだね、俺のところで働かないか?」「今、この状況がまさに、法輪清治郎と仕事をしているのでは?」」 p191 「思い出は、どれも無色だ。あとから色を塗って、綺麗にするか、それとも汚くするか、そのいずれかだろう。」 p199 「彼の声を聞いて、自分が本当に恋をしてしまったことがわかった。何だろう、ずっとずっと、それは蓋をしていたもの。綺麗に紙に包んで、リボンをかけて、飾ってあったもの。それとも、引出の中に大切に仕舞ったもの。ときどき、目にとめるけれど、中を見てはいけないもの。そう思っていたのだ。」 p200 「けれど……、忘れてはいけないことが……。いくら彼を好きになってしまっても、そのさきの時間が、私にはない。すべての時間は、私が引き金を引いたときに、終わるはず。」 p201 「愛する人を、私は殺せるだろうか。できる。それは……、愛するからこそ、できる。これが、愛するという形だから。私の形だから。」 p208 「「とんでもない。」法輪は首をふった。「そんなことをしたら、こちらのプライドが許されないよ。あれは、俺が彼女からもらったもの。つまり、ものではない、精神的なものだよ、良い思いをさせてもらった、幸せだった、それに対する、代償だ。彼女には受け取る権利がある。」」 p210 「夢のような生活をするには、まず夢を見なければならないことを知った。」 p222 「「殺したいくらいの憎しみでも、いつかは消える。自分よりも大切だと思った愛だって、いつかは忘れてしまえる。ようするに、鈍感なんだよ。」「鈍感だな、みんな。」」 p227 「「違う。頸城君だよ。貴方がいるから来たんじゃない。」」 p236 「「よく来てくれたね。」彼は低い声で言った。「お招き、光栄に存じます。」貴子が応える。美しい声が響いた。二人の息遣いが聞こえる。「本当に、久しぶりだ。君は変わっていない。」「貴方様もお変わりなくて。」」 p241 「「可愛いな。」洋輝が溜息をついた。「泣き顔なんか見ちゃったら、もうお終いだ。」「ああ。」僕は頷いた。「なんだ?素直だな。」「ああ。」僕はまた頷く。」 p256 「from Zola with a blow and goodbye」
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