
RIYO BOOKS
@riyo_books
2024年1月27日

ビヒモス (岩波文庫)
ホッブズ
読み終わった
A アリストテレスの哲学が宗教の要素とされたことも、大学から始まった。それは、キリストの体の性格や、天国における天使や聖徒の状態にかんする、非常に多くのばかげた信仰箇条を言いつくろうのに役立った。大学はそうした信仰箇条を、信仰させるにふさわしいと考えた。なぜなら、そうした信仰箇条は聖職者に対して、その最も地位の低い者にすら、利益や崇敬を与えたからだった。最も地位の低い聖職者でさえキリストの体を作ることができる、と大学が人々に信じさせ、とくに人が病気の際には、聖職者が救い主をこしらえて病人のところへ持ってきてくれる、と信じられるならば、聖職者に崇敬を示さない者が、また聖職者や教会に物惜しみするような者がいるだろうか?
B しかし、アリストテレスの教説は、こうしたペテンにおいて、どのように聖職者の役に立ったのでしょうか?
A 彼らは、アリストテレスの教説というよりも、その漠然としたところを利用したのだ。彼らのお得意は、人々を言葉で困惑させて陥れ、ローマ教会の決定で最終的決着をつけねばならぬような論争を培養することだった。この点で、アリストテレスのそれこそ、うってつけの古代哲学者の文書だった。彼らは、アリストテレスの教説における多くの議論を利用した。