
K
@km_n_hns
寝ぼけた頭でカーテンを開けると、外は霧雨で白く烟っていた。ノースリーブのまま寝入ってしまっていたからか、ひんやりとした空気が肩を冷やしているのに気づいた。熱いシャワーを浴びて、真っ白な綿のワイシャツを羽織って、友人との予定に同行してもらう本を選ぶ。
小さな鞄だから単行本は入らない。文庫本。既読の本よりは未読の本が読みたい気分だ。
江國香織を手に取りかけて、本棚に収まることなく無造作に積まれていたこの本が目に入った。
著者が話題になり、1冊くらいは読んでみようと適当に(何かの予感がする本を心のままに選んだとも言い換えられる)購入した本だった。暑い秋の日だったと思う。モスグリーンのスエードのセットアップが暑苦しかった。
美術館帰りの宇都宮線でこの本を開いた。美術館では絵を眺めてぼうっとしていると「並んでるんですけど〜」と女の子に押された。電車の隣に乗り合わせた老女は船を漕ぎ、何度もわたしの肩に頭をぶつけた。
作者の言葉の最後まで全て追い、本を閉じると、ちょうど目的の駅だった。一度記録をつけて閉じたこのアプリをもう一度立ち上げ、言葉を綴っていく。感想を書くのは不得手だから、何も書きたくない。感じた想いを残すことに意味を感じ得ない。でも何かを書きたいと思った。
ここに書いた。
