
ユメ
@yumeticmode
2025年4月2日

サルデーニャの蜜蜂
内田洋子
読み終わった
感想
イタリア各地の日常を伝える内田洋子さんの情感溢れる文章にくらくらと酔いしれる。なかでも印象深いのは、食卓の描写だ。流星の尾のような蜂蜜。草を食む羊に息を吹きかけられるような、セージ香るパスタ。皿の上で月が光る、タリアテッレのボロネーゼ。目で文字を追いかけているだけであるはずなのに、一瞬、舌の上に確かに味わいを感じたような気がしてくる。そして、舌を通じて人間ドラマが飛びこんできて、ぐっと心を掴まれるのだ。内田さんのエッセイを読むのは久々だったが、いつまでもこの魅力に身を浸していたくなった。


