
人工芝
@_k55y
2026年9月8日
あなただけに許す距離
一木けい
読み終わった
恋をするということは、誰かとの距離を縮めることだと思っていた。
けれど、この作品を読んでいると、
近づくことだけが愛ではないのだと思わされる。
近すぎれば息苦しく、遠すぎれば寂しい。
その人にしか許せない距離があり、その距離を探しながら人は誰かを愛していくのかもしれない。
五つの恋はどれも、綺麗なだけではない。
満たされなさや戸惑い、言葉にならない感情が静かに滲んでいて、それがかえって生々しい。
登場人物たちの「好き」という感情を眺めているうちに、いつしか自分自身の恋愛や、人との距離まで思い返してしまう。
愛することと、愛されること。
近づくことと、離れること。
そのどちらが正しいのかではなく、自分が息をしやすい場所を探していく。
『あなただけに許す距離』というタイトルが、読み終えたあとに静かに胸へ残る一冊だった。



