
イシイルカ
@ishiiruka0421
2026年9月8日

サイケデリック・マウンテン
榎本憲男
読み終わった
科学の進歩と、倫理性。
エキセントリックで先鋭的かつ暴力的な宗教団体と、信者の洗脳、そしてその洗脳を解除する心理学的アプローチ。
前半は気の毒な謎の被害者だった鷹栖という男の、捜査関係者によって調べられた意外な経歴が半分ほど過ぎたあたりの彼を主人公とした章で明らかにされる。
イエールに行くにはちょっと風変わりな経歴だな、と捜査関係者にはさほど重要視されなかったその遍歴。
その内幕が圧倒的な熱量で語られる。
彼の「あるところからないところにちょっと移す」という行動原理。
なんのコネも知り合いもないまま身一つで乗り込み、911の直後のアメリカで単身のし上がっていくサクセスストーリーは読んでいて思わずワクワクしてしまう。
これがこの作者の描く世界の魅力なんだよなあ。
もし本当にこんな技術が可能だったとしたら、という想像は『エアー2.0』『エアー3.0』でも同様に感じた熱い夢。
仏教に対する深い知識がこの波乱万丈なアメリカ生活のストーリー展開を支える。
終盤、テーマは量子力学に及ぶ。良質名ミステリを読んでいるような快感。謎解き、この事件の首謀者は一体誰なのか、誰が何を目的に、いや目的はわかっているものの、どのような手段でこの事件を起こしたのか。謎を抱えたまま読者はクライマックスへと引きずり込まれる。
2025/09/28


