
イシイルカ
@ishiiruka0421
2026年9月9日

読み終わった
随分久しぶりに読んだけれど、やはり若い頃とは少なからず印象は変わっている。
当時、何度も何度も繰り返し読んだ本。
2つの世界観の物語が平行して進んでいき、読者はやがてそれが主人公が住む現実の世界と、彼の脳内に構築された虚構の世界だということに徐々に気づいていく。
ハードボイルド・ワンダーランドな現実の世界が、逆に不可思議な魑魅魍魎に覆われていきリアリティという地平から離れ浮かび上がって行くのはいつもの村上ワールド。
そして脳内の「世界の終わり」という舞台は、村上氏の大きな大きなテーマである高い壁に囲まれた街、その後数十年も経った後に『街と、その不確かな壁』という長編小説に昇華されるモチーフ。
主人公の「私」は保守的なファッションセンスで古い小説を読み、古い洋画のヴィデオを観てビールやウィスキーを飲んで過ごす、いささか偏屈で、やや偏見の多い、いつもの村上春樹が描く典型的なやれやれな男。
極めて専門的な職業についていて、孤独を愛して他人に対し壁というか殻を作って生きている。その彼が不本意にも巻き込まれる非日常的な騒動とタフな冒険。
後のエッセイなどで、あまり村上氏自身はこの作品を気に入っていないような、あるいは若書きだったことをいささか悔いているのか、自己評価が低いニュアンスを感じたのだけれど、個人的には彼の長編の中でも一、二を争うほど大好きな作品だ。
2025/09/23






