のぼりおり "プルースト効果の実験と結果" 2026年9月11日

プルースト効果の実験と結果
女性を主人公とする恋愛短編4作を収録。 巻末解説で間室道子さんが「『なつかしいなあ』ではなく、私は本書の読書中、青春のただなかにいた。」と書いているが、まさにそれだ!と思った。 私は男性なので女子高生だったことはないし、収録作を読んで「わかるわかる、恋愛ってそういうことあるよね〜」という共感が生まれたわけではない。ただ、登場人物と淡い悲しみを共有するような、同じ時間、同じ空間で彼女らと経験を共にしていくようなそんな作品群だった。 特に表題作は、受験勉強期を舞台に「たけのこの里」「きのこの山」を使ったプルースト効果の実験、そして図書館と静かながらどこかチャーミングな司書という設定からして惹き込まれる。「小川さん」の人物描写も印象的で、「はじめてのキスは想像もつかないところでしよう」なんていう台詞を効果的に置けるのはその描写あってこそだろう。だからこそ、主人公が小川さんとの記憶をか細い手で辿っていくような過程は胸に迫る。とはいえ、恋愛が終わってしまった悲しみを単に描くのではない、多少いびつながらも前を向こうとする若さに読後感がよかった。
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