りら "月と日の后(下)" 2026年9月11日

りら
りら
@AnneLilas
2026年9月11日
月と日の后(下)
初めて読む冲方丁作品。 一条天皇の中宮にして国母として何代もの天皇を支えた彰子の一代記。 「光る君へ」は未見だけど、『紫式部日記』や『うた恋い。』を齧っててある程度は彰子周辺の家系図を把握しているからか、読みやすくて(聴きやすくて)面白かった。 一条と定子の仲睦まじさなど、既知のエピソードも多かったけれど、弟の道長に目をかけていたということくらいしか知らなかった円融の妃にして一条の実母・詮子の、中宮になれなかった恨みつらみの吐露が凄まじくて、間違いなく上巻のハイライトだった。 内裏をはじめとする天皇の御座所が何度も何度も焼亡するのが衝撃的で、大半の出火原因は藤原家の専横を妬んだ挙句の付け火なのだろう。記録がきちんと残っているのも単純にすごい。 彰子自身がかなり長生きのため、病がちの割に早世したわけでもない道長が没してからの年数を長く感じた。 道長の覇権は多くの幸運に依るものだろうけど、妻としたのが多産で丈夫な倫子と明子だったのが大きいのだろうな。彰子の母・倫子も当時としては信じがたいほど長命だし、その長子として天皇に入内し、皇子を二人授かったのもまた僥倖で。 一方で息子や孫に若くして先立たれる度重なる不幸も、長寿ゆえ耐え忍ばなければならなかったものだと思うと、やはり栄枯盛衰を感じる。 終生控えめで節度を弁えた女性として描かれる彰子が見てきた時代の明暗が鮮やかだった。 改めて「光る君へ」が観たくなったし、同著者の『はなとゆめ』も気になる(ただし清少納言については『砂子のなかより青き草』が好きなので、そのイメージを崩したくないという思いもある)。 オーディブル2.2倍速。
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