
RIYO BOOKS
@riyo_books
2025年2月8日

真昼の暗黒 (岩波文庫)
アーサー・ケストラー,
中島賢二
読み終わった
話全体がグロテスクな茶番だ、とルバショフは思った。根底で「革命哲学」を使ったこの詐欺は、所詮、独裁体制を固めるための手段にすぎず、気の重くなるような現象ではあったが、歴史の必然性を示すものであった。茶番を真面目に受け取り、舞台上で起こったことしか見ず、舞台裏の仕掛けを見なかったイサコヴィッチには不運だった。以前は、革命の諸政策は会議で決められたものだが、今では舞台裏で決められてしまう。これもまた、大衆の相対的成熟の法則の論理的帰結である……。

