
橘海月
@amaretto319
2026年9月12日

ホテル・ピーベリー
近藤史恵
ハワイ島の都会ではない場所にあるホテルピーベリー。六つしかない部屋はリピーターを禁じており、泊まれるのはたった一回だけ。教師を辞め日本で腐っていた木崎は、三ヶ月の滞在でやって来たが…。十一あるハワイの気候変化のように、目まぐるしく不気味に話は流れる。
読み進めながら、当初期待していたようなハワイのイメージとは異なり、物語は木崎の内面の鬱屈とした風景と呼応するような展開となる。日本人夫婦経営のホテルには一人旅の男女が四人滞在していて、彼らも何か秘密を抱えている。ある一人の客の死から不穏な雰囲気が一気に湧き、意外なラストに向かう。
正直、冒頭から主人公の木崎があまり好きになれず、読み進めるのが辛いなと思った。おそらくそれは彼がずっと自嘲しつつも自分に言い訳ばかりし他者に甘えているからで、熱で欲情したのとその後の思考が特に顕著でかなり不快だった。和美さんが好印象なだけに辛く、わかりやすく嫌な男より更に嫌だなとも。
結末と謎の解明は、実際にあり得るなとも思った。

