cookingalone "コスタグアナ秘史" 2026年9月13日

コスタグアナ秘史
コスタグアナ秘史
フアン・ガブリエル・バスケス,
久野量一
ノストローモを読み終えたら、読もうと思っていたので、ようやく積読から解放。 自分にはよく分からないのだが、ノストローモにおいて、コロンビアから分離されたパナマの人々の物語がコンラッドに横領されたと見るのは、確かに検討すべき点かもしれないが(しかし、コンラッドは、コロンビアの歴史とノストローモの世界をかなり隔てて語り、名前も異なるものにしている)、かと言って、バスケス自身もまた、当時の人々とは異なった場所で語るのであり、当事者でない。であるとすれば、当事者の物語を横領しているのは、バスケスもまた同じであって、横領は反復されている(さらにいえば、コンラッド自身の物語も横領している)。 このことについて、作者はあまりにも無自覚であって(悪くいえば、コンラッドを弾劾することによって、自らの横領を隠蔽している)、もっといえば、一人称を用いて、自らは当事者であると装って、藁人形的にコンラッドを弾劾するバルケスのほうがたちが悪いように感じる。 歴史を語り語りなおすのは、大変難しいことだけれど、物語の横領は横領として自らの罪として背負いつつ、より良い「横領」の在り方はどうあるべきかを模索すべきだったのではなかろうかと思う。
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