
kohhee
@kohhee
2026年9月13日
風景論
港千尋
読み終わった
古いものほどエラいという理論で書かれているし、なんだか説教くさい。まあ老害じみた本ってとこ。
地球はエラい、グローバル社会は悪いみたいなことを、世界中の都市の景観と書籍の引用を用いて書いている。言葉遊びと妄想じみた論考を、賢そうな言葉で意味ありげに書いてあるようにしか見えなかった。自分の頭が悪いだけだろうが。
人文書によく見られる「人間が風景を知覚するのではない、風景が人間を知覚するのだ」的措辞のオンパレード。まあ一種の詩として読むしかない。
個人的に一番反発を感じたのは、無電柱化の話。著者は「日本は電柱だらけでけしからん、ヨーロッパでは」みたいなことを書いている。
そうじゃないだろと。その時とその場所とその条件で、「とりあえずの最善」として行ってきたことの積み重ねこそが、風景を作るんだろうと。電柱だらけの日本の風景にこそ、日本のアイデンティティを感じてこその風景論だろうと。
まあでもこの「とりあえずの最善」というワードを拾えたのはこの本のおかげ。もっともっと長い眼で見れば間違っているかもしれない、けれどもとにかく今見える範囲での「とりあえずの最善」を必死に積み重ねていく、そのことが人間存在の愛おしさだよなあと。自分が好きな「ユーモア・風俗・風景」をまとめるワードかも。
「とりあえずの最善」で考えたこと。よく慣用句的に「国家百年の計」というけど、国家が百年の視点しか持てないのに、国家が国民に「老後のことまで考えて暮らせ」って言うのってひどいよな、一個人としてリアリティを持って考えられる最善のレンジって何年くらいなんだろうと。
まあくだらない自己啓発本みたいな結論だけど、やっぱ10年くらいかなって。「死ぬまでにやりたいことリスト」ってあるけど、いつ死ぬかわかんないから究極的には無意味。「10年後までにやりたいことリスト」だったら、今後10年の収入、可処分時間、ライフスタイルの変化、社会の変化をある程度予測したうえで計画できるだろうし、リアルなぶん達成しがいがありそうだなって思った。
まあ明日死ぬかもしれないんだけど。それでも「とりあえずの最善」を目指して生きていくしかない。
