
CandidE
@araxia
2025年4月7日

ワインズバーグ、オハイオ
シャーウッド・アンダーソン,
上岡伸雄
読み終わった
副題を「グロテスク小説群」(A Book of Grotesques)とする本作は、全22編の短編から構成される。各物語は独立しているものの、若い新聞記者ジョージ・ウィラードを共通の人物として、オハイオ州の架空の小さな町ワインズバーグを舞台に緩やかに連結されている。
閉塞した街という甕に沈殿した抑圧や孤独、葛藤、精神の歪み――そしてそこに巣食う怒り、悲しみ、破壊衝動、歪んだ愛……。アンダーソンは、このようなグロテスクに歪み、畸形な存在となった人々の怨嗟を、淡々と掬っては戻し、掬っては静かに戻す。
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「世界じゅうのみんながキリストであり、磔にされている。わしが言いたいのはそれさ。忘れないでくれ。何が起きても、絶対に忘れてはいけない」(「哲学者」より)
「『無』のなかから世界に誕生し、それぞれの人生を生き、『無』のなかへと消えていった無数の人々。彼らの姿が、目の前を行進していくかのように見える。」(「見識」より)
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オールタイムベスト。

