Tomy "犯罪者 下" 2026年9月21日

Tomy
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@books_tomy
2026年9月21日
犯罪者 下
太田愛さんの作品は初めて読んだけどめっちゃ面白かった!! 4人が刺殺される通り魔事件の直後、襲われた被害者の中でひとりだけ助かった修司が搬送先の病院で突然現れた男性から「あと10日生き延びれば助かる。君が最後の一人なんだ」という謎の警告を告げられる。 その後、修司は薬物中毒で現場近くで死亡していた事件の犯人は実は替え玉で真犯人が他にいるのでは、という疑問を感じ、刑事の相馬とフリーライターの鑓水に匿われながら通り魔事件の被害者の共通点を探っていく。 この導入の部分でガッとストーリーに引き込まれてしまった。読者を作品世界に引き込む謎の提示の仕方が上手い。 また小説の構成が巧みで、修司達が通り魔事件の被害者同士を繋ぐ共通点を探る中で乳幼児が罹患した奇病メルトフェイス症候群との繋がりを判明するのだけど、その見せ方も上手いなと思った。病気の原因となった離乳食を製造した食品メーカー勤務の中迫を通して事件の発端がわかったり、中迫の友人の真崎が立てたある計画を知ってドキドキしたりと物語を修司や相馬、鑓水の主人公達以外の視点から多方面に描くことで話に深みが出ているし、登場人物それぞれの人物描写がうまくて感情移入しやすかった。 物語の終盤で修司達が通り魔事件の真相とメルトフェイス症候群にかかる事実を隠蔽しようとした企業のみならず事件の裏で暗躍する暗殺者・滝川も全てまとめて白日の元に晒すための計画を準備〜実行するところからは一気呵成、ジェットコースターのように物語が展開していって一気読みしてしまった。これだけスケールのデカい話を作り上げ、その広げた大風呂敷を最後には綺麗に畳む筆力が素晴らしい。 また、多分著者の方が元々ドラマの脚本を描いていたからか、読書中、脳内での映像化がとてもしやすい文章だなと思いながら読んでいた。また社会に対する問題提起を作中に入れ込んでいるところはドラマ「相棒」の薫りがしたし、テレビの裏事情みたいな事も書いてあって制作サイドの本音を垣間見た気持ちになったりした。 ストーリーテラーで人間描写も巧みだと感じる一方でドラマ脚本家だったからか映像ありきの描写のように感じる部分もあって、作中でメタファーのように何度も出てくる「フロリダキース」と「凍結臨」は多分映像で実際に見たらそこにもっと感情を乗っけて、登場人物たちの気持ちも汲んで読めたと思うので自分の乏しい想像力が惜しかった。 とはいえはちゃめちゃに面白いことには変わりがないので次作の「幻夏」も読むのがとても楽しみ。
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